2022.01.14 事務機各社 デジタルサービス本格化新たな成長戦略を加速

サービスビジネスで新たな成長を図る

 事務機大手が、デジタル化機運の高まりを背景に成長戦略を加速させている。リコーは2025年度までを「リコー飛躍」と位置付け、成長に向けてかじを切った。昨年4月に富士ゼロックスから社名を変更した富士フイルムビジネスイノベーションは、基幹系ビジネスを複合機と並ぶ新たな柱に育てていく。各社はデジタルサービスなどを本格化させる。

 コロナ禍により、ビジネス環境は大きく変化した。オフィスとテレワークのハイブリッドな働き方の定着、ペーパーレス化などアナログからデジタルへの転換が加速。各社は相次いで新たな成長戦略を打ち出している。

 リコーは昨年4月、「OAメーカーからの脱皮」「デジタルサービスの会社への事業構造の転換」を目的に、五つのビジネスユニットから成る社内カンパニー制を導入した。21~25年度をリコー飛躍と位置付け、成長に向け大きくかじを切っている。

 デジタルサービスビジネスユニットでは、複合機などのエッジデバイスとオフィス事業を組み合わせたオフィスサービスの提供で価値提案に取り組む。

 ニューノーマルにフォーカスしたソリューション商品群として「スクラムパッケージ」「スクラムアセット」を国内で販売。21年度は前期比30%増と大きく伸び、このほど累計販売数が約18万本に達した。このノウハウを海外でも展開。グローバルでオフィスサービスの強化を図っている。

 富士フイルムビジネスイノベーションは、本格的に基幹システムビジネスに参入する。HOYAのIT子会社、HOYAデジタルソリューションズを買収し、1日付で富士フイルムデジタルソリューションズを設立した。これを機に、Microsoft Dynamics 365を主力とした基幹システムの販売および導入支援のビジネスに参入し、複合機事業に次ぐ中核事業に成長させる。

 同社が保有する業務効率化のソリューションやノウハウを組み合わせて顧客のDXを支援していく。また、同社および国内外の全子会社のシステムをMicrosoft Dynamics 365に刷新。社内実装で得た効果や知見を顧客のDX化に役立てる。

 キヤノンマーケティングジャパンはサービス型モデルの拡充により、収益性の高い保守・運用サービスやアウトソーシング領域を強化し、高収益なITソリューション事業の確立を目指す。25年に同事業で売り上げ3000億円を計画している。

 22年は、「2021-2025長期経営構想」の2年目として実行計画を加速させる。ITソリューション事業では、独自性のあるEdgeソリューション、共創型ソリューション、データセンターを活用したクラウドビジネスなどに注力していく。

 セイコーエプソンは、21年度から長期ビジョン「Epson 25 Renewed」「環境ビジョン2025」をスタート。「環境」「DX」「共創」をテーマにした戦略を加速させる。環境では、今後10年間で1000億円を投入し、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出で200万トン以上の削減を図る計画だ。

 コニカミノルタは、中期経営計画「DX2022」を推進している。強みとするイメージング技術をベースに、ワークフロー・バリューチェーンを俯瞰(ふかん)した「as a Service(アズ・ア・サービス)」モデルで顧客価値を提供。画像IoTプラットフォーム「FORXAI」で、DXを加速させる。