2022.01.24 政府、量子技術のイノベーション戦略見直し税制優遇などで民間投資促す

 政府は24日、量子技術の活用を産学官が一体となって戦略的に促す方針を打ち出した。長期的な研究開発投資が必要な企業や導入企業を対象とした優遇税制について検討し、民間投資の呼び水とする。さらに、量子技術をセキュリティー分野などに適用する事例を増やす展開にも注力。経済安全保障や産業競争力の強化につなげる狙いだ。

 同日開催の有識者会議「量子技術イノベーション会議」に、量子技術に関するイノベーション戦略の見直し案が提示された。さらに議論を重ねて案をまとめ、4~6月に統合イノベーション戦略推進会議が決定する。

 量子技術は、量子が持つ特異な性質や振る舞いを情報処理や通信などに生かす技術で、次世代の高速計算機「量子コンピューター」などが含まれる。米中などは安全保障に直結する重要技術と位置づけ、野心的な目標を掲げて研究開発や事業化を加速している。

 政府はこうした状況を踏まえ、研究開発が主体だった従来の戦略を見直し、産業化までを視野に入れた戦略に軸足を移すことにした。量子技術で先行する海外勢を追撃したい考え。安全性が高い究極の情報処理ネットワーク「量子インターネット」に焦点を当てた国家プロジェクトを立ち上げるとともに、同技術のロードマップを作成する方針も盛り込んだ。
(27日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)