2022.02.18 【食器洗い乾燥機特集】家事負担軽減と大幅な節水に貢献

 コロナ禍で在宅時間が伸び、家事の負担が増加している。また家庭で食事をする機会が増え、調理・後片付けの手間も増えている。中でも食器の後片付けは、最も面倒な家事の一つとされ、家事負担軽減のため、食器洗い乾燥機が注目され、今期に入り市場も成長している。節水(環境配慮・経済性)・家事負担軽減など、さまざまな面で貢献度の高い食洗機の商戦活性化に期待がかかる。

 巣ごもり需要の拡大で調理家電を含めさまざまな家電の販売が拡大したが、食器洗い乾燥機にも関心が集まっている。日本電機工業会(JEMA)の出荷統計によると、今期は前年を上回る勢いで、2021年12月単月の出荷は台数・金額とも2桁伸長し、金額ベースでは前年同月比19.5%増と大きく伸びている。

 食器洗い乾燥機は、共働き世帯が1200万世帯以上へと拡大したことを背景に、家事負担軽減のため、購入したい家電製品の上位に挙がる家電の一つだ。在宅時間が伸び家事負担が増えるようになって、より注目を集めている。

 JEMAのまとめによると、21年(暦年)の出荷台数(ビルトイン型および卓上型)は、前年比7.8%増の85万9000台と順調に拡大している。4~12月の累計出荷台数も前年同期比6.5%増、金額ベースでは同11.3%増となっており、単価も上がっている。

 食洗機の普及率は日本国内では約27%にとどまっている。一方、グローバル市場で見ると、北米で75%、西欧67%、豪州66%など、日本と比べはるかに高い。このことから今後、日本市場でも、欧米市場と同等の水準にまで拡大してもおかしくなく、将来的な成長性が見込める商品分野でもある。

 日本市場で食洗機の普及が遅れた理由として、よく言われるのが必需品というより、ぜいたく品というイメージが主婦に強かったためということだ。世代が若くなるほど、こうしたイメージは低下しつつある。

 もう一つは日本の狭い住宅事情(設置場所の問題)が大きな要因と言われる。食洗機トップメーカーであるパナソニックのネット調査(21年4月、食洗機購入を諦めた世帯N=48)によると、設置スペースなし(42%)、何となく置けないと思った(19%)、調理スペースがなくなるのがイヤ(17%)など、購入を諦めた理由の約8割が「設置」関連だった。

 こうした問題を解消する商品がビルトイン食洗機となる。ただ、ビルトイン食洗機の場合、購入のタイミングはキッチンリフォームや新築時など大きなイベントの場合も多い。一方、卓上型食器洗い乾燥機の場合は、比較的購入ハードルは低く、置き場所に困らないスリム設計や、分岐水栓取り付けが不要なタンク式も近年登場し、購入しやすい環境が整っている。

 食洗機は家事負担軽減に効果的なだけでなく、環境にも大きく貢献する。手洗いと比べ6人分の食器(約40点)を洗った場合、使用水量が約7分の1(JEMAホームページより)など、大幅な節水が実現し、世界的な水不足問題への貢献を図れるとともに、経済性も高い。

 手洗いよりも高温で洗浄できるため、除菌にも効果があり、衛生意識の高まりを背景に食洗機の訴求ポイントの一つとなる。コロナ禍で大変な時である一方、今のタイミングこそ、食洗機の普及率向上の好機でもある。

パナソニックの主力製品

「スリム食洗機」NP-TSK1

業界最薄で高い洗浄力、狭いキッチンにも設置

業界最薄のスリム設計を取り入れた卓上型食器洗い乾燥機「スリム食洗機」NP-TSK1

 パナソニックは、家事負担の軽減、また節水など地球環境にも貢献できる食器洗い乾燥機の普及を加速すべく、設置の問題を解決する業界最薄のスリム設計を取り入れた卓上型食器洗い乾燥機「スリム食洗機」NP-TSK1(食器点数24点/4人分)を昨年11月から発売した。

 さらに、同社初となる分岐水栓取り付け不要のタンク式NP-TSP1(同)も同時発売し、家事負担軽減や節水、さらに調理スペースを確保して設置できるなど評価が高く、計画の2倍の販売につながり好調だ。

 NP-TSK1は、業界最薄の本体奥行き約29センチメートルのスリム設計を採用するほか、蛇口に当たりにくいドア開閉機構「リフトアップオープンドア」を新搭載し、狭いキッチンのシンク横にすっきり置けるようにした。

 従来のレギュラータイプの場合、ドア開放時に本体背面から蛇口まで58.4センチメートルのスペースが必要だったが、新製品はドアが蛇口に当たりにくい新機構によりドア開放時36.7センチメートルとなり、従来比約63%の省スペース化を実現した。これにより、同社の試算では首都圏の賃貸住宅のシンク横に設置可能な割合が約4倍に高まるという。

 食器洗い乾燥機の普及率は現在27%程度だが、スペースに比較的余裕がある持ち家(戸建て・マンション)の場合は約35%に対し、民営賃貸住宅は約6%にとどまっている。

 今まで設置スペースで食洗機購入を諦めていたユーザーに対しても、新製品は購入のハードルを下げることになる。しかも、庫内かごのさまざまな工夫により、約4人分24点の食器や、直径26センチメートルのフライパン・まな板などの調理器具も収納できる容量を確保、使い勝手が良い。

 洗浄性能もレギュラーサイズと同等の高性能を実現。ノズル噴射穴の増設により水流が多角的に動いて庫内の食器の隅々まで行き渡り、高温高圧の「ストリーム除菌洗浄」で洗うと同時に除菌ができることから、衛生ニーズにも対応できる。

 食器カゴはさまざまな食器をセットしやすいレイアウトフリーのアレンジピン仕様となっているほか、新たにスタイハンガーにより、乳幼児用のソフトスタイ(食洗機対応)の除菌洗浄もできる。

 また、NP-TSK1の使用水量は約8リットルと、手洗いの約6分の1で高い節水性を実現している。

同社初の分岐水栓取り付け不要のタンク式NP-TSP1

 タンク式NP-TSP1は、分岐水栓非対応の蛇口や、賃貸住宅で分岐水栓取り付けが不安で購入を諦めている人も、より手軽に使用できるようになる。

 タンク式は、給水口を本体下部に配置しているので背の低い人でもラクに給水できる。購入後でも分岐水栓式に対応可能な2ウエイ方式を採用している。