2022.03.08 【中部産業特集】中部の製造業、自動車部品中心に生産増

トヨタ自動車のMIRAIは電動化を促進

ゼロカーボンシティーを目指す恵那電力ゼロカーボンシティーを目指す恵那電力

カーボンニュートラルや電動化・DXへ投資マインド改善

 中部の製造業は、主力の輸送機械が自動車部品を中心に生産が増加しており、供給不足が続くほど活発な半導体需要を反映して、生産用機械も増加している。電子部品・デバイスも集積回路を中心に高水準で横ばいとなっている。先行きについて東海地域の企業は、原油・原材料の高騰、部材の調達難、物流の逼迫(ひっぱく)、新型コロナオミクロン株の感染状況などを注視するが、カーボンニュートラルや電動化・DX(デジタルトランフォーメーション)化への対応に積極的に取り組む姿勢を見せている。

 中部経済産業局が2月16日に発表した管内(愛知、岐阜、三重、石川、富山)の総合経済動向によると、生産は2カ月連続で増加した。輸送機械の生産は、自動車部品を中心に増加の動きが見られる。

 生産用機械は、半導体製造装置関連を中心に需要が高まり、外需・内需ともに好調であるため緩やかに生産が増加している。電気機械の生産は、自動化や省人化需要の拡大により緩やかに持ち直している。

 電子部品・デバイスの生産は堅調に推移しているものの高水準で横ばいとなっている。金属製品の生産も持ち直しの動きが見られる。

 設備投資は、東海・北陸ともに、製造業は前年度を上回る計画となっている。

 中部経済産業局は今年1月、東海地域の企業70社を対象に地域経済産業調査をヒアリングで実施し、2月16日に結果をまとめた。

 調査結果によると、製造業は自動車・輸送機械を中心に需要が旺盛であり、増産傾向となった。一方、部材の調達難が継続していることに加え、製造現場での新型コロナ感染が拡大し、計画された生産となっていない業種もある。生産用機械や電子部品・デバイスなどは、外需の好調や内需の回復、半導体需要の高まりを背景として堅調な動きを維持している。

 先行きは、輸送機械や生産用機械では引き続き需要は旺盛であり、高水準の生産を計画している。一方、原油・原材料の高騰、半導体をはじめとする部材の調達難、オミクロン株の感染急拡大など複合的な要因により、製造業全般では先行きが不透明とみている。

 特に半導体不足については、輸送機械では今年秋ごろまでに解消するとみているところがあれば、恒常化して今後1年以上は続くとみている業種もあり、業種によって調達状況が異なっている。

 電気機械工業では、受注残が多いことから、部材が安定的に入手できれば生産は高水準で推移するとみている。

 鉄鋼業では、自動車の挽回生産により増加を見込んでいる。半導体に限らず東南アジアからの部品調達が滞っているほか、石炭やスクラップが高値で推移していることも懸念材料の一つ。

 設備投資は、各業種で投資額や計画に大きな変化は見られないものの、新型コロナの影響から先送りするなど、実施時期の見極めや投資内容を最低限の更新に絞るなど、一部で慎重な姿勢が見られる。

 今後の投資計画を増額すると見込む企業が、減額するとした企業より多い。輸送機械の大企業を中心にカーボンニュートラルや電動化・デジタル化への対応を盛り込む動きがあり、投資マインドは昨年に比べ徐々に改善していくものとみられる。

中部圏の大規模水素サプライチェーン
社会実装へ包括連携協定

 愛知県は2月21日、2050年のカーボンニュートラル達成を目指し、中部圏の大規模水素サプライチェーンの社会実装を実施する「中部圏における大規模水素社会実装の実現に向けた包括連携協定」を、中部の自治体や経済団体と締結した。

包括連携協定の締結式(左端が愛知県の大村秀章知事)

 今回の包括連携協定に加わったのは、愛知県、岐阜県、三重県、名古屋市、ならびに名古屋商工会議所、中部経済連合会、中部経済同友会、中部圏水素利用協議会。有効期間は1年間。

 この取り組みを推進するため、「中部圏大規模水素サプライチェーン社会実装推進会議」を同日付で設立した。

 連携事項は、水素の輸入・貯蔵・供給・利用を促進するためのインフラ整備や計画の策定、水素の利活用促進に資する取り組み、水素社会の早期実現のために必要な取り組み。