2022.04.07 次世代半導体材料の開発活発ウエアラブル機器用部品 一段と小型・薄型化推進

先端フォトレジスト(東京応化工業)

 半導体材料は、第5世代移動通信規格5Gの進展や自動車の電動化、省エネ要求の強まりなどに合わせ、次世代半導体プロセス材料や次世代パワー半導体材料などの技術開発が活発化している。また、ウエアラブル端末の需要が広がる中で、同端末の技術進化を支える電子部品技術の高度化が進んでいる。

 半導体材料では、次世代の半導体露光技術であるEUV(極端紫外線)リソグラフィーに向けたプロセス材料の開発や供給体制拡充の動きが活発化している。

 半導体露光装置の光源は、主流のKrF(フッ化クリプトン、波長248ナノメートル)から、ArF(フッ化アルゴン、波長193ナノメートル以下)への移行が進展している。

 さらに、半導体の処理速度の高速化、データの大容量化、高集積化により半導体チップの回路パターンの一層の微細化が求められる中で、次世代のEUV露光(波長13.5ナノメートル)の実用化も進んでいる。EUV露光は、2017年ごろから一部の半導体露光装置メーカーがEUV装置の出荷を開始。その後、5G化に伴う半導体回路の微細化要求の強まりもあり、海外主要半導体メーカーやファウンドリーの投資が本格化している。

 このため、半導体プロセス材料各社では、EUV露光に照準を合わせたフォトレジスト(感光材料)やペリクル(フォトマスク防じんカバー)、マスクブランクスなどの開発や設備投資を活発化させている。

 パワー半導体材料では、車載充電器やインバーターなどの小型・高効率化に貢献する次世代パワー半導体材料として、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)の開発や生産能力増強への取り組みが進展しており、従来のシリコン製半導体材料からの置き換えが徐々に進む見通し。

 さらに、SiCとGaNに続く第3の次世代パワー半導体材料とされる酸化ガリウムも注目を集めており、SiCやGaNより安価で製造可能なワイドバンドギャップ材料として酸化ガリウム向け材料の開発が進んでいる。

ウエアラブル機器用部品技術

 ウエアラブル端末は、スマートウオッチやスマートグラスをはじめ、リング型、スマート衣料、ワイヤレスイヤホンなど多様な種類がある。無線センサー機能を内蔵したスポーツシューズや、飼い犬の首に取り付けて追跡調査が行えるスマートドッグカラーなども商品化されている。

0402サイズESD保護機能付きノッチフィルター(TDK)

 ウエアラブル機器に内蔵される電子部品は、通常のスマートフォン用部品以上の小型・薄型化が要求される。電子部品各社は、スマホ用部品の横展開とともに、専用部品の先行開発を進めることで、技術的な差別化を推進する。

 センサーは、MEMS技術などを活用した超小型かつ高性能で低消費電力の製品開発に力を入れている。

 無線通信モジュールは、BLE(ブルートゥース・ロー・エナジー)モジュールやSub-GHz帯モジュール、LPWA(ロー・パワー・ワイド・エリア)モジュールなどの小型化が追求されている。

 接続部品は、バッテリー接続やディスプレー接続などの用途向けに、基板対基板/FPCコネクターの低背かつ小極バリエーションなどに力が注がれ、製品高さ0.6ミリメートル超低背品や、0.35ミリピッチ・小極タイプの基板対基板コネクター開発などが進む。

 回路部品は、ウエアラブル機器の高密度化に対応するため、軽薄短小化の追求が加速している。積層セラミックコンデンサー(MLCC)や高周波回路インダクターでは、0402サイズなどの極小チップに加えて、0201サイズの超小型品が開発されている。