2022.06.21 あらゆる場所で「置くだけ充電」設置可能にTDKがワイヤレス充電向け超薄型パターンコイル開発

ワイヤレス充電向け薄型パターンコイル

 TDKは、スマートフォンなどのモバイル機器のワイヤレス充電用に、厚さ0.76ミリメートルの超薄型化を実現したパターンコイルを開発、量産開始した。「置くだけ充電」へのニーズの高まりに対応し、あらゆる場所へのワイヤレスチャージャー(充電スポット)設置を可能とする新型コイルとして提案する。

 近年、スマホをはじめとするモバイル機器のワイヤレス充電の普及に伴い、自動車内をはじめとして、「置くだけ充電」の需要が高まっている。一般的な巻線充電コイルは、厚さ3.8ミリメートル程度のものが主流だが、同社は、パターンコイル技術を採用することで、厚さ0.76ミリメートルと従来の約5分の1という飛躍的な薄型化を実現した。

 同社が開発したのは、ワイヤレス充電標準規格「Qi(チー)」適合のワイヤレス充電向け薄型パターンコイル「WCT38466-N0E0SST101」。露光/エッチング技術を使わずに、アキレス(東京都新宿区)のナノ分散ポリピロール液を用いためっき技術とTDKのプロセス技術を活用し、従来巻線でつくられていたワイヤレス充電コイルを薄膜フィルム上の厚膜の銅パターンで製造可能とし、加えて、TDK独自の高特性磁性材料を用いたことで、0.76ミリメートルの薄型化を実現した。

 さらに、パターンを独自の最適コイル形状としてことで、カバーできる充電エリアを拡大し、ユーザーの利便性を向上する。

 モバイル機器向けのQi適合デバイスで、ワイヤレスチャージャー側に使用される充電コイルを薄膜フィルム形状で実現したのは同製品が初めてで、業界最薄を達成した。これにより、車載ワイヤレスチャージャーへの搭載をはじめ、デスクマットへの内蔵やスマホホルダーへの適用など、さまざまなアプリケーションへの提案を推進する。

 スマホのワイヤレス充電機能は、多くの主要スマホメーカーで標準搭載が進んでいる。韓国サムスン電子のギャラクシーでは大半の機種に同機能が搭載され、米アップルもアイフォーン8以降の端末は全て対応済み。
(6月22日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)