2022.07.01 【家電総合特集】エアコン猛暑で省エネを訴求、AIやIoT機能も提案

地域性も大切にしたエアコン訴求を行う

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 コロナ禍で、在宅勤務を導入する企業が増えたことや部屋の空気質向上への需要が高まったことが影響し、エアコン市場は活気付いた。日本冷凍空調工業会(JRAIA)によると2017年度以降、毎年900万台を上回る出荷が続いている。20年度には出荷台数が1000万台を突破して過去最高を記録。21年度も高水準で推移した。

 JRAIAが公表したエアコンの今年5月の出荷実績は、80万4000台だった。前年が高水準だったこともあり、前年同月比79.0%と2カ月連続のマイナスとなった。

 6月に入ると真夏日が続き、エアコン商戦に直結してくる猛暑にも期待がかかるところだ。今年は、中国・上海のロックダウンなどの影響で製品の供給に不安もあるが、各メーカーと販売店が一丸となり夏商戦に臨んでいる。

 東京電力管内で電力需給が厳しくなる見込みであることから「電力需給ひっ迫注意報」が発令された。熱中症予防の観点からもエアコンの使用は必須。節電につながるエアコンの使い方について多くのメディアが報じるなど、省エネへの意識が高まっている。各メーカーは、SNSやチラシなどで節電につながるエアコンの効果的な使用方法を伝えるとともに、本格利用する前に異常や故障の早期発見のための試運転を広く呼び掛け、アピールしている。

 コジマ×ビックカメラ北本店(埼玉県北本市)の中里茂樹店長は「節電に関し、お客さまの意識が大きく変わってきた。省エネ性について説明する際にも、以前より伝わりやすくなった」と話す。

 これまでも省エネ性の訴求は各メーカーが注力してきたが、最近では快適性や清潔性など省エネ以外の要素を重視する傾向も強かった。ただ、ユーザーの多くが、現在のエアコンは高い省エネ性を実現していると理解しており、電気代の値上がりやSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、省エネ性の高さが購買理由として再び存在感を高めている。

 一方で、清潔性や快適性を求める傾向も続いている。独自技術による除菌機能や人工知能(AI)、IoTを取り入れた製品も多い。中里店長は「LDK(リビング、ダイニング、キッチン)に設置するエアコンは、油汚れなども考えられるため、より清潔に保てる機能が充実したエアコン、寝室には換気機能が充実したエアコンなど、使用場所や困り事によって最適な商品を訴求する」と話す。

 AI機能は、一見難しそうに感じるユーザーもいるが、細かい設定が不要で快適な空間がつくれるため、小さな子どもや高齢者がいる家庭に設置すれば安心・安全な生活につながる。使用イメージを明確にすることで、販売にもつなげていく。