2022.07.08 【電子部品技術総合特集】日本航空電子工業中島伸一郎商品開発センター長兼分析・評価室長
中島 センター長
技術編集型とエンゲージメント型、二つの狙い方重要視
日本航空電子工業は、創業以来、「開拓・創造・実践」の理念で、独自の革新性と創造性に富んだコネクターやインターフェース機器および防衛・宇宙用センサーモジュールや産業機器などを展開してきた。中島伸一郎商品開発センター長兼分析・評価室長は、「研究開発部門は自らがイノベーションの源泉となるべく新たな技術戦略を掲げ、それに基づき新しい価値を提案することで社会変化に応じた新事業領域開拓の役割を担う。研究開発のエンジニアには、社会や技術のトレンドを肌で感じて時代感覚を養ってもらい、また自身の技術専門性への愛着とその磨き上げに没頭するよう依頼している」と話す。
研究・開発活動では、社会や技術トレンドから導き出される研究開発ストーリーと技術者自身の専門性磨き上げの先に拡がる研究開発ストーリーの双方の接点を模索しながら研究開発を企画する「技術編集型のR&D」と、事業現場での課題に対し技術者自身が専門性を擦り込み、その解決を通じて将来生じる可能性のある潜在的な研究開発を企画する「エンゲージメント型のR&D」の二つの「狙い方」を重要視している。
同社R&D部門では、新事業領域の開拓を目指す事業化企画開発と事業性調査研究、各事業部門の将来事業ビジョンに貢献する事業部連携開発、モノづくり技術研究の分類で取り組んでいる。モノづくり技術研究開発に関し、中島センター長は「最も重要なのは、高い専門性を身に着けたエンジニアが製造現場で利用される従来技術の本質を理解し、『その先があるはずだ』との信念を持ちながら独自技術の磨き上げに没頭すること」と指摘する。
公的研究機関が推進する国プロや、研究機関との個別共同研究なども推進。産学共同にも積極的に取り組み、2021年には厚生労働省関連のプロジェクトに採択され、持ち運び可能なウイルス変異型RNA検出システムの開発に向け技術調査を開始した。
先端技術領域では、高精度MEMSセンサーエレメントの構築技術およびそれを用いたセンサーシステム化技術、フレキシブルおよびストレッチャブルな電気接続・チップ部品実装技術、金型の超長寿命化を実現する表面加工技術、表面の超親水化・超撥水化技術などに取り組んでいる。