2022.07.08 【電子部品技術総合特集】日本ケミコン野上勝憲執行役員CTO、「研究開発」+「商品企画」
野上 執行役員
縦軸に顧客ニーズ、横軸に技術進化
日本ケミコンは開発方針として、「研究開発」+「商品企画」の両輪での展開に力を入れている。野上勝憲執行役員CTOは「社会課題の解決、社会起点の視座を持ち、われわれの部品・モジュールがどのように貢献できるかということを考えていく。それが当社やエンジニアの社会的意義であり、そのための技術開発に取り組んでいる」と話す。
同社は2020年4月に「第9次中期経営計画」(3カ年)をスタート。中計戦略の一つに「商品企画力強化による新商品投入と成長戦略の明確化」を掲げている。その一環として同月、従来の「研究開発本部」を「技術本部」へと名称を改めた。「第9次中計の1年目、2年目はマーケティング強化に取り組んだ。新たな組織・システムを構築し、エンジニアとマーケティングが一体となって取り組んでいる」(野上執行役員)。
これにより、「R&D(研究開発)+D(ディプロイ=社会実装)」の方針の下、早期の商品化と提案力の向上を図っている。
重視するのは「コンセプト主導型の商品開発」だ。顧客の要求仕様への提案力を高めるとともに、縦軸に顧客ニーズ、横軸に技術の進化を据え、それを俯瞰(ふかん)していくことで、新規分野への展開や新たな商品の創出につなげる。同時に、従来の製品分野についても、開発ロードマップに沿った新製品開発を推進する。
アプリケーション別の最重点テーマには車載、次いでIoT関連を位置付ける。「車載では導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)、電気二重層キャパシター『DLCAP』が好評なため、引き続き良い商品の開発に取り組み、投資も増やす。チップ形アルミ電解コンデンサーも加速させる。大型品も車載向けに展開していく」(野上執行役員)。
アライアンス/コラボレーションにも積極的に取り組んでおり、今後もオープンイノベーションでの取り組みを推進。産学連携にも継続して取り組む。
カーボンニュートラルへの対応は①セットの高効率化ための蓄電システムへの提案②自社のエネルギー消費低減、の両輪で進めている。消費エネルギー低減では、アルミ電解コンデンサーでの酸化皮膜の最適化による省エネ化を追求し、実績を拡大している。