2022.07.20 【TECHNO-FRONTIER特集】電源技術動向車載、モバイルなど成長分野に照準
基板自立タイプの小型アルミ電解コンデンサー
電子機器の高性能化や高効率化ニーズの高まりを背景に、電源技術の高度化が進んでいる。パワー系電子部品各社は、自動車、産業機器、モバイル端末などの成長分野に照準を合わせ、マテリアル、プロセス、評価技術を高度化させながら、電源の新製品開発をサポートする。
自動車分野では、電動車の台頭により、モーター制御のためのインバーター、DC-DCコンバーター、充電器などの開発が活発化している。振動、衝撃、温度などの耐環境性に優れ、小型・軽量で高効率化などが求められる。また、ADAS/自動運転技術の高度化に伴い、ECUの搭載点数が増加し、その電源回路の小型・高信頼性化技術も強く要求されている。
太陽光発電パワーコンディショナーには絶縁型と非絶縁型があり、従来はアナログ制御の非絶縁型が多かったが、最近ではDC-DCコンバーターの制御にデジタルを用いた技術が採用され、小型、軽量、高効率、高信頼でコストパフォーマンスに優れた製品が増加している。
再生可能エネルギーと蓄電システムにおける直流給電に対しては、1台で低電圧と高電圧を双方向に昇降圧できる高効率な絶縁型の双方向DC-DCコンバーター開発が進展している。
スマートフォンやIoT端末などの分野では、さまざまな半導体デバイスを駆動するための超小型のDC-DCコンバーターモジュールが搭載される。
電源を構成する電子部品の小型・低背化技術も進展している。スイッチング素子や整流素子は、ハイパワー化、高耐圧化に向けて、シリコン(Si)に替わり、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー素子の開発が活発化している。
制御回路については、マイコン、DSPの進化により、デジタル制御方式を採用した電源の開発が進む。
アルミ電解コンデンサーは、小型化、長寿命化、高耐熱化、高電圧化の追求が進展。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)などの新製品開発も活発化。
スイッチングトランスは、低損失フェライトコアの最適設計により、小型・薄型・高効率化に向けた開発が進んでいる。コイルは、フェライトコアやアモルファスコア、さらにはメタル系など磁性材料を使い分けることで、最適な製品が提案される。