2022.07.20 【TECHNO-FRONTIER特集】FA関連技術動向自動化・省人化・スマート化進む

ロボット導入など製造業の自動化ニーズがますます高まっている

 製造業のイノベーションが進んでいる。

 少子高齢化が進む日本は人口の減少による製造業の就労者不足が深刻で、若い人たちの製造業離れが追い打ちを掛けている。「世界の工場」を標榜してきた中国でも同様の現象が起き始めており、ロボット導入などFAによる自動化、省人化、スマート化の要求はますます高まる。また、単なる就労者不足や人件費削減への対応のみならず、人的エラーを無くした製品品質の均一化、高度化する製造技術への対応、地産地消の世界同一品質のものづくりなどの要因からも重要性を増す。

 例えば三菱電機の場合、2025年度全社売上高5兆円を目指す重点成長事業の一つにシーケンサー、サーボ、CNC(数値制御装置)を核とした「FA制御システム」掲げる。今後のFA産業の有望性を示す一例と言える。

 工場のスマート化はIoT技術を駆使し、生産ラインの装置を通信でつなぎデジタルデータをやりとりすることで、装置の故障を予知したり、不良生産が発生した場合には人を介さずに装置間で原因を突き止めて自動的に修正し自己完結する。

 最終的には工場の無人化、全自動生産を目指す。全自動生産は工場全体の最適化を図るMESから、上位のSCP/ERP、さらにはサプライチェーンまでネットワークしたシステムを構築することで実現する。

 製造現場の自動化で産業用ロボットの導入は不可欠になる。水平多関節ロボット(スカラロボット)、直交ロボット、垂直多関節ロボットなど用途に応じたロボットが本格的に普及してきている。最近では人との共同作業を前提とした「協働ロボット」が主流になってきた。産業用ロボット本体だけではなくロボットハンドなど周辺機器も新たな産業として拡大している。

 工場スマート化の要素の一つである故障予知では、半導体製造装置はじめさまざまな製造設備に用いられる直動案内機器、軸受などの機械要素部品、モーション機器にセンサーを取り付け作動状態を常時監視することで、製造設備の異常を検知し、故障の前兆を知るといった方法が普及し始めている。