2022.07.22 【家電流通総合特集】地域電器店 下半期の展望省エネ商品提案

ナカオでは、店内に扇風機やサーキュレーターを数多く展示

店頭で蓄電池を導入し環境対策を推進(でんでん館にのみや)店頭で蓄電池を導入し環境対策を推進(でんでん館にのみや)

カーボンニュートラル見据えお客の節電ニーズに対応

 電気代が高騰する中、電器店は、省エネができる商品や、電気を作る、ためる商品の提案を推進。顧客が所有する家電製品や設備商品を把握し、最適な商品導入を推進する店として提案活動を強化している。

 パナソニックショップのでんでん館にのみや(大分県杵築市、荷宮大輔社長)は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みを加速する。顧客の節電ニーズに対応し、省エネ家電の提案を進めている。

 同店は家電販売だけでなく、店舗への太陽光発電システムや蓄電池の導入、Web販促によるペーパーレス化の推進など、さまざまな方向から環境対策に取り組む。

 電気料金の高騰で顧客の節電への意欲は高まっており、ランニングコストの差が成約の決め手になることも多い。店舗で省エネ対策を実施しているため、提案に説得力を持たせることができ、口頭で省エネ機種の魅力を伝えている。

 現在はエアコンの繁忙期を迎えており、省エネモデルへの買い替えを推進している。冷蔵庫の買い替えも多く、エコナビ機能を搭載した機種を優先的に提案。蛍光灯の寿命を迎える顧客も増えており、LED照明への交換も進んでいる。

 「価格が高くても、お客さまにとって良い商品を提案したい」と荷宮社長。今後の家電の値上げも見据えて早めの買い替えを促す方針だ。

 節約効果だけでなく、環境対策の観点で省エネに関心を持つ顧客も増えており、省エネモデルの販売は今後も増えると期待している。

 パナソニック系・のはら家電(岐阜県大垣市、野原実社長)は、ソーラーパネルやEV、蓄電池、高効率給湯器を活用して創・省エネルギーのソリューションを積極的に提案している。

 同社では、カーポートや店舗屋根に設置したソーラーパネルと蓄電池で店舗での消費電力の30%を再エネにした。停電時には蓄電池にためた電気を非常電源として、地域の人に無料開放している。営業車にはEVを採用、大垣市産のグリーン電力購入し、光熱費・CO₂削減、地域貢献につなげている。

 カーボンニュートラル社会の実現に向け電化の時代が到来していることから、給湯・調理家電、V2H、エコガラスなどの導入も促進。店内掲示やイベントを通して、コスト削減効果も分かりやすく説明している。

 こうした取り組みは、SDGsの達成にもつながる。高耐久のソーラーパネルや蓄電池は、環境負荷の低減だけではなく、固定費削減やBCP対策になることから、今後は企業向けの提案も増やしていきたい考えだ。野原社長は「一軒でも多く創エネを実現し、エネルギーをつくって、ためて賢く使えるようにしていきたい」と意気込む。

 電気・ガス代が値上がりする中、パナソニック系スセキ電気チェーン逸見本店(神奈川県横須賀市、栖関泰宏社長)では、太陽光発電を既に導入しているお客に対して、蓄電池を提案している。

 栖関社長は「蓄電池を導入すると、蓄電された電力残量を気にするようになり、ますます消費電力を抑えようという意識になる」と話す。また「値上がりの幅として、燃料調整費が高額な印象だ」として、電気使用量の削減は現在、お客の関心が最も高いことの一つと指摘する。

 ドライヤーや電子レンジなどは電力消費量が多く、使用頻度を抑えることで節電につながる。10年以上使用している冷蔵庫を新型に買い替えるだけでも、消費電力の削減に高い効果が期待できる。

 特に同店では、エコキュートの取り組みにも積極的だ。昨年秋から今年3月までに15台以上を販売した。

 エコキュートの提案では、太陽光発電と連携する「おひさまソーラーチャージ」機能の活用をアピールしている。「ネットと連動し、翌日の天候を予測して湯を沸かすタイミングを人工知能(AI)が判断してくれる」と栖関社長。省エネ・節電に少しでも貢献する提案を重視している。

 でんきの白鷺チェーン本部店(兵庫県赤穂市、岩佐明社長)は、15年前に据え付けたエコキュートの買い替え提案を推進している。月に2、3台ペースで取り付けており、コンスタントに売上を獲得している。

 岩佐社長は「15年前の機種と今の機種を比べると省エネの能力が高まっている。取り換えることでさらなる省エネを提案できる。また、15年前の旧機種は故障しても部品がなく、買い替えのきっかけにもなる」と話す。

 同店では蓄電池を太陽光発電システムを導入した顧客に約20セット販売している。節電の観点から商品を訴求する方針。

 「国が省エネを推進しているのであれば、蓄電池や太陽光発電システム導入の後押し政策が必要。今後の電気代高騰や製品価格の上昇する可能性があることも含め、強い政策を打ち出してほしい」(岩佐社長)と話す。

 パナソニック系のナカオ(福島市、中尾勉社長)では、店内に扇風機やサーキュレーターを数多く展示、エアコンとの併用使用を訴えながら販売に当たっている。特にサーキュレーターについては、10台以上を展示・訴求している。

 先日開催した個展でもサーキュレーターの動きがみられた。エアコンと併用するようだ。中尾社長は「特に薦めてはいないが、お客さまがそれぞれの節電への取り組みとして購入するケースが多くなっているのではないか」という。

 パナデン芋田電器(青森県十和田市、芋田譲社長)では、省エネ性の高い家電品を薦めるようにしている。現在、エアコンの動きが目立ち、購入も進んでいる。省エネ性に優れた暖房エアコンなどの予約、購入がみられる一方で安いモデルの方が動いているという。

 芋田社長は「省エネ性の高い商品を強く推し出しているが、お客さまは省エネ性をあまり気にしていないようだ。値段ばかり気にしている」と話す。