2022.07.28 【半導体/エレクトロニクス商社特集】飯田通商グローバルハブはタイ、一貫体制確立でEMS事業拡大

森山 取締役

 飯田通商は、日本国内だけでなく中国、ASEANに拠点を構えてグローバルビジネスを展開する。エレクトロニクス商社機能を生かしてEMS事業を拡大している。

 EMS事業では、業界に先駆け1992年に中国・東莞に製造会社を設立。13年にはタイとミャンマーに全額出資の自社工場を設け、現在3拠点で展開している。

 同社の顧客が中国一極集中からASEANに生産を分散する動きに対応して、21年に東莞工場の基板実装事業をタイ工場に集約し、タイをグローバルハブに位置付ける体制とした。

 東莞工場はタッチパネルの貼り合わせ事業を主とし、ミャンマー工場は電子データ加工事業を行っている。

 森山篤取締役生産本部長は「中国ではロックダウンの影響が尾を引いているが、当社のEMS事業は総じて堅調に推移している。東莞工場のタッチパネル貼り合わせ事業は、受注が増加しているとともに、車載向けなどでパネルの大型化が進み、新たな需要が期待できる。タイ工場では民生機器、電子部品のモジュール実装などの受託が増えている。ミャンマー工場の電子データ加工事業は、顧客のDXをお手伝いする意味でも今後伸ばしたい」と語る。

 タイ工場は現在、従業員約500人。実装工程7ラインを設け、5億ショット/月の生産能力を備えている。また、完成品の組み立ても行う。クリーンルーム(ISO14644クラス7)を設けて日本品質水準の体制でモノづくりを提供している。実装工程ではPOP実装やC4実装にも対応する。

 森山取締役は「タイ工場ではタッチパネルの貼り合わせ事業に加え、新たに基板の回路設計も受託できる体制を整え、設計から実装、アセンブリーまでの一貫体制を整備する」と話す。

 ミャンマー工場の電子データ事業の中でも「AIアノテーション」作成は、需要が確実に伸びている。AIアノテーション事業を紹介するため、6月に東京ビッグサイトで開催された「JPCAショー2022」に出展した。日本国内の電子部品営業のみならず、ミャンマーのDXサポートを武器に、ソリューションでの拡販活動に力を入れる。