2022.08.03 【コネクター総合特集】自動車用コネクター自動車の技術進化に照準、大電流・高耐圧対応製品など開発
自動運転対応の25ギガbps高速フローティング基板対基板コネクター
コネクターメーカー各社では自動車市場を、中長期の事業拡大のための最重点市場の一つと位置付けている。「CASE」などのメガトレンドを背景とした自動車の進化に照準を合わせ、高速伝送・高周波対応や小型・高信頼性、高耐熱、大電流・高耐圧対応などの新製品開発を強化している。
ADAS/自動運転を支えるセンシングデバイスである車載カメラは、車1台当たりの搭載数量の増加とともに、製品の高性能化が進展。最近の車載カメラは、従来の標準だった30万画素(VGA)から、100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、高速デジタルセンシングカメラへの進化が加速している。
コネクター各社は、車載カメラの技術進化に対応し、車載カメラモジュール接続用コネクターや、カメラECU用コネクターなどの技術開発を強化。高画質車載カメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ、小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に力を注ぐ。
自動運転車向けのセンシングカメラでは、将来的には3メガピクセル、10ギガbpsなどへの進化が予想されていることから、POF(プラスチック光ファイバー)コネクターの製品化も視野に入れられている。
自動走行レベル3以上の自動運転車で必須のLiDAR(ライダー)についても、多数個使用のための小型化追求が要求され、対応コネクターの小型化も求められる。ミリ波レーダー用コネクターも、一層の小型化と防水性の向上が求められている。
今後、搭載の本格化が見込まれる車載イーサネットコネクターへの参入企業も増えている。車載イーサネット用では、通常のイーサネット用と比較して極めて高い信頼性が要求される。
今後の自動車開発では安全性向上に向け、車1台当たりのエアバッグ搭載数の増加も見込まれ、グローバル規格に対応したエアバッグ用コネクター開発なども進展する。
EV/PHVなどの電動車用では、車載インバーターやモーター、バッテリー周りに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発化。定格電圧850V対応品などが開発されている。
エンジンルーム周辺などのアプリケーションでは125度/150度対応など高耐熱FPCコネクター開発が盛んだ。走行時の厳しい振動環境に対応するため、車載用フローティングコネクター開発も活発化している。
EVやPHVの本格普及には、1充電当たりの走行距離向上が重要な鍵を握る。
このため、EV用コネクター/ハーネスでは、通常のガソリン車以上に軽量化ニーズが強く、小型・軽量タイプの車載ECU用コネクターなどの開発が進展している。ワイヤハーネスからアルミハーネスへの代替、また、FPC/FFC配線への切り替えを通じた車体軽量化への取り組みも進む。