2022.08.02 大手電子部品メーカー各社、22年度1Q(4-6月)も好業績が継続車載・産機需要が堅調に推移し、円安も追い風に

 8月1日までに発表した電子部品メーカー大手7社(TDK、日本電産、京セラ、村田製作所、日東電工、アルプスアルパイン、ローム)の22年度第1四半期連結決算(4-6月)は、6社が増収・営業増益となった。中国ロックダウンや地政学リスク増大などが影響し、中華系スマートフォン向けの需要が落ち込んだが、車載や産機向けは堅調に推移し、為替の円安も各社の業績を押し上げた。足元の電子部品市場は、やや減速感もみられるもの、拡大基調が続いており、通期では全社が増収増益を計画する。

 7社の1Q業績は、村田製作所を除く6社が前年同期比で増収かつ営業増益となり、うち4社は売上高・営業利益ともに2桁増となった。1Qは、4月から5月にかけて上海でのロックダウンが続き、半導体不足による自動車や電子機器の生産の遅れなども見られたが、そうした状況でも、大半の企業が大幅増収増益となった。

 1Q売上高は、TDK、日本電産、京セラなどが四半期ベースで過去最高を更新。日東電工は、1Q決算発表に合わせ、今年度通期の売り上げ・利益予想を大幅に増額修正した。

 分野別では、昨年度に年間を通じて好調だった産機/FA関連の部品需要が、今1Qも引き続き好調に推移。自動車向けは、半導体不足や上海ロックダウンの余波で車両メーカーの減産がみられた中でも、EVやADAS向けの付加価値の高い車載用電子部品需要が増加した。

 ICT関係では、スマホ向けは、米アップル向けなどのハイエンド機種の需要は堅調だったが、中華系スマホ向けの需要が1Qは想定以上の落ち込みとなった。PC向けも、コロナ特需の反動などにより低調に推移したが、データセンター向けの電子部品需要は堅調さが継続した。

 収益面では、原材料価格の高止まりや物流コストの増大などが各社の収益に悪影響を与えたが、一方で、急速な円安進行が利益の押し上げに寄与している。

 TDKの1Q業績は、売り上げは前年同期比21.5%増の5105億400万円となり、四半期ベースで過去最高更新。京セラも、1Q売り上げが同16.9%増の4919億5400万円と伸長し、四半期での最高を更新した。日本電産は、1Qは売り上げ、税引前利益、当期純利益がそれぞれ四半期ベースで過去最高を更新した。

 直近の電子部品受注状況は、一時の勢いと比較すると、やや減速感もみられ、2G(7-9月)から下期に向けての見通しについては、やや警戒感も浮上している。特に、中華系スマホの低迷長期化や、サプライチェーンの混乱、コロナ特需からの反動減、地政学リスク増大やインフレ加速による欧米や中国での景気下振れリスクなども懸念されている。

 一方で、下期に向けては、半導体需給緩和に伴う自動車や電子機器の生産正常化期待も高まっており、中華系スマホ需要も、「2Q以降は回復に向かう」との予測もある。また、産機関連の需要は、今後も高水準の継続が予想されている。

 今年度通期連結業績予想は、7社中6社が従来予想を据え置いたが、日東電工1社のみ、通期の売上高・営業利益予想を大幅に増額修正した。

 今年度通期の連結売上高予想は、TDK、日本電産、京セラ、村田製作所、日東電工、ロームの6社が過去最高の更新を計画する。各社計画が予定通り進捗すれば、今年度は売上高2兆円企業が一気に3社誕生することになる。

(記事詳細は、電波新聞8月3日付で掲載)