2022.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】NECネクサソリューションズ 木下孝彦社長「連鎖」原点に新ビジネスを創出
コロナ禍の2年半で生産性向上や自動化を進め、トップラインが伸びなくても一定の利益を出せる体質になった。通期では昨年を上回る形で推移しており、手応えを感じている。
前半戦では図書館のシステムが好調だった。蔵書管理や貸し出しの仕組みに、利用者向けに通話アプリLINEと連携したサービスを加えた。将来的には自治体、病院も含めて共通基盤を構想している。バスの運行状況やホテルのチェックインなど、地域の共通的なプラットフォームの構築に向けて、利用者のメリットを意識しながら進めていきたい。
昨年度から、従来のSIビジネスからサービス型ビジネスへのシフトを強化している。事業環境の整備や新ソリューションの開発が動き始め、顧客も獲得できている。将来的にはサービスの割合を50%以上にしたい。
主力のインターネットサービス「クローバーネット」では昨年度からシリーズ化に着手しており、新たにクローバーネットAIを提供した。製造業では、一部の熟練者の経験に頼りがちだった原料構成などの品質調整に人工知能(AI)を活用。化学物質の配合が必要な食品や化粧品の製造現場のほか、需要予測にも応用できる。
これまで弱かった小口請求や精算業務の支援では、マネーフォワードと提携して請求業務のクラウドサービスの展開を始めた。クローバーネットの販売管理システムと連携し、電帳法改正やインボイス制度にも迅速に対応できるようにした。
中堅中小企業はまだまだ回復が遅れている。流通業でも対面接客が減り、セルフレジによる自動化を考えている企業が増え、自動化、省力化に対するニーズはさらに大きくなっている。
本業以外のビジネスチャンスを求める企業も増えてきた。業態を先回りして対応できる体制づくりに向け、過去の不採算案件や成功事例について社員同士が議論する情報共有会を社内に立ち上げた。社名の由来でもある「連鎖(ネクサス)」を原点に、組織内の連鎖、業種間の連鎖で新しいビジネスを作っていきたい。