2022.09.07 【JASIS2022開幕特集】 日本ゼオン COP樹脂使用のマイクロ流路チップの試作受託サービスを提供

高機能樹脂シクロオレフィンポリマー(COP)とマイクロ流路チップ

 日本ゼオンは、JASIS2022では、高機能樹脂「シクロオレフィンポリマー(COP)」により製作するマイクロ流路チップを紹介する。

 シクロオレフィンポリマーは、同社が独自の技術で開発した画期的な熱可塑性樹脂で、優れた光学特性、透明性、高バリアー性、低不純物特性などの特性から、光学用途や医療用途をはじめ、さまざまな用途で使用されている。COPは米FDAにも登録され、マイクロ流路チップの素材としても大きな注目を集めている。今回は、用途に応じた最適グレードの紹介や樹脂メーカーならではの視点による材料物性を生かした製品作りサポートなどを紹介する。

 同社は、COP樹脂を使用した樹脂製マイクロ流路チップの試作受託サービスを提供している。同社のマイクロ流路チップ試作受託サービスは、基板の成形から流路切削加工、接合までワンストップで受託することで、低コスト・短納期・小ロットでのサンプル製作を実現する。

 同試作受託サービスでは、1枚から量産まで柔軟に対応しており、最低ロットが無いため、ユーザーは必要に応じた量を発注できる。最短で10営業日での短納期での納品が可能。「イメージはあるがCADが使えず、図面にはおこせない」というユーザーに対しては、手書きの絵でも相談可能で、製図のサポートも行う。成形、切削、接合までをワンストップサービス(OSS)で対応できるため、ユーザーはこれまで別々の業者に発注していた作業を一括で発注でき、業務の効率化を図ることができる。

 同社のCOP樹脂を活用したマイクロ流路チップは、大学の研究室やバイオ関連企業の創薬開発など、さまざまなユーザーに利用されている。

 シクロオレフィンポリマー樹脂の特性としては、低UⅤ吸収特性により短波長領域の光線透過率が良好であるほか、抜群の低蛍光特性により感度の高い検査が可能、優れた化学的安定性により耐酸・耐アルカリ・耐アルコールに優れる、純度が非常に高くアウトガスの発生がほとんどない、低吸着特性に優れ、ガラスや汎用(はんよう)樹脂と比較してたんぱく質などの吸着が低い、低水蒸気透過性により内容物の保存安定性に優れる、転写性に優れ精密成形を実現できる、などがある。焼却処理が可能なため廃棄性にも優れ、低環境負荷の材料となっている。

 マイクロ流路チップは、多様化するバイオ・医療分野などで、高速かつ高感度で目的物を検出するデバイスとして、普及が期待されている。