2022.09.29 【電子部品メーカー・商社ASEAN特集】シンガポールケミコン(日本ケミコン) インド市場、2輪EVや電力インフラ注目

木村 MD

 日本ケミコンは、ASEAN地域での営業体制として、シンガポールを主軸に、タイ、マレーシア、インドネシアに営業拠点を展開し、きめ細かなセールス、サービス活動を行っている。

 ASEAN営業を統括するシンガポールケミコン木村昭裕マネージングダイレクター(MD)は、ASEAN地域初の営業拠点として1975年に設立された。現在34人の体制で、シンガポールのほか、フィリピン、ベトナム、マレーシアの一部、インド市場をカバーしている。従来は西部のジュロン地区にオフィスを構えていたが、2021年9月にやや中心部寄りの地域にオフィスを移転した。

 木村MDは、ASEANでの営業方針について「グループの中期目標である『あらゆる経営環境の変化に柔軟に対応できる企業体質への転換』の方針に基づき、コロナ禍や材料不足、インフレ、物流逼迫(ひっぱく)などのさまざまな環境変化の中でも、これらに対応できるマネジメントに努める」と話す。

 同法人は、20年はコロナ禍による需要低迷の影響を受けたが、21年は大きく販売が回復。22年度もここまで堅調に推移している。直近のASEANでの販売動向について木村MDは、「一時の極端な活況からは少し落ち着いているが、今でも旺盛な状況。分野別では、産機向けが好調に推移しているほか、タイのエアコン向けも好調。ロシアの欧州への天然ガス輸出規制で、欧州でガス暖房からエアコンへのシフトが進んでいると聞いている。車載(4輪/2輪)も、半導体不足が続く中でも、EV向けなどの需要が伸びている」と説明する。

 製品別では、EVや電装化関連で導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)が好調なほか、産業機器やエアコン向けに大型アルミ電解コンデンサー販売も増加している。22年度下期売り上げは上期を上回る水準を計画する。

 同法人では、中期的にインド市場での売り上げを拡大していく方針。「業界の脱中国の流れの中で、インドはその受け皿として注目度が高い。インドでは特に、2輪EVを含むEV関係や電力インフラ関連市場などに注目している。現在は代理店経由のビジネスだが、将来的には営業拠点開設も検討したい」(木村MD)。

 現在、ASEAN地域での売り上げは、シンガポール拠点とタイ販社で全体の約8割を占めている。