2022.10.10 エプソン インクジェットヘッドに注力 生産能力3倍拡大へ新棟建設

秋田エプソンの新棟完成イメージ

 セイコーエプソンは、低印刷コストや環境負荷低減を実現するインクジェット技術を活用した複合機、プリンターなどによるプリンティングイノベーションを推進している。新たに同戦略の核となるキーデバイスのインクジェットプリンター用ヘッドの生産能力を増強する。

今後の需要伸長へ
製品ラインアップ強化

 グループ会社の秋田エプソン(秋田県湯沢市)が、総額約35億円を投資し、新棟を建設。将来的には生産能力を現在の3倍程度まで拡大する。11月から秋田エプソン敷地内に新棟建設を開始し、2023年12月に完工の予定。

 同社のプリンティングソリューションズ事業では、同社独自のインクジェット技術である「マイクロピエゾ技術」を採用。家庭用インクジェットプリンターだけでなく、オフィスや商業、産業など幅広い分野で製品・サービスを通して、高い環境性能や循環型の印刷環境を提供している。

 マイクロピエゾ技術は、インクジェット技術を支える中心的な技術。最小で1.5㌰リットル(ピコは1兆分の1)の球状粒子のインク液を1秒間に最大で5万発を安定して正確に必要な量だけ噴射することができる。「既存のアナログ印刷、レーザー方式に比べて廃棄物が少なく、環境負荷低減に寄与できる」のが特長。

 環境面の高い評価などから、今後も、全世界でインクジェットプリンターの需要増加が見込まれている。

 新棟では、インクジェットプリンターの基幹部品となるインクジェットヘッドの製造・組み立てを行う。今後の需要伸長を前提に、最先端「PrecisionCore(プレシジョンコア)マイクロTFPプリントヘッド」搭載インクジェットプリンター供給増を踏まえ、製品ラインアップを強化。また、外販ヘッドの拡販対応も視野に入れている。

 新棟は既存工場棟に併設して建てられ、PrecisionCoreマイクロTFPプリントヘッド生産拠点の秋田エプソンへの集約による効率性も考慮している。加えて、生産設備に関しては、人時生産性やスペース生産性のさらなる向上も織り込んだかたちで工程整備を進めていく。

 高い技術力を持つ生産拠点として、国内の研究開発拠点と密接に連携。また、基幹部品の生産を通じて得られる先端の生産技術・ノウハウをエプソンの海外生産拠点へも展開することで、グループの総合的なものづくり力の向上への貢献が期待されている。

 同社は、インクジェット技術によるプリンティングイノベーションを推進、印刷プロセスに熱を使わないことによる格段に優れた省エネルギー性能などを訴求。大容量インク搭載モデル、高速ラインインクジェット複合機、さらに商業、産業領域でも同技術による環境負荷低減を支援している。