2022.10.18 【CEATEC特集】ソサエティー5.0実現に注力 パートナーズパークエリア

水中の新しい世界を提案するALANコンソーシアム

パートナーズパークでは共創事例が多く展示される(写真は半導体の魅力を伝える半導体フォーラム)パートナーズパークでは共創事例が多く展示される(写真は半導体の魅力を伝える半導体フォーラム)

さまざまな家電がつながる世界を披露するスマートホームさまざまな家電がつながる世界を披露するスマートホーム

新たな試みのメタバースエキスポでは、メタバース上の共創も体感できる新たな試みのメタバースエキスポでは、メタバース上の共創も体感できる

 3年ぶりの会場開催となるCEATEC2022は、千葉・幕張メッセのホール4から8までを使い、530社/団体以上の出展者が、エリアごとにソサエティー5.0の実現に向けた提案を行う。幕張メッセは会場が横長になるため、中央部に目玉となる主催者企画の「パートナーズパーク」を配置。左側にソサエティー5.0の実現に向けたソリューションを展示する「トータルソリューションエリア」を、右側にソサエティー5.0の実現を支える部品や技術を展示する「キーテクノロジーエリア」と特定の分野や産業向けソリューションを展示する「スマート×インダストリーエリア」を置いた。パートナーズパークと同じ中央部には、海外諸機関の展示とスタートアップや大学が参画するエリアがある。CEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーは「ぜひ中央のパートナーズパークから見てほしい」と力を込める。

「デジタル田園都市」テーマ

共創し社会実装している事例示す

 今回の目玉の一つは、CEATECが長年推進してきたパートナーとの「共創」を実現する「パートナーズパーク」だ。このエリアでは独自のテーマを設定し、あらゆる産業や業種のパートナーとともに、ソサエティー5.0の未来社会を体現する展示が見られる。

 「これまでは共創をしていきましょうという働き掛けが中心だったが、今回は具体的に共創して社会実装している実際の事例を見ることができる」と鹿野氏。2019年の展示から3年で大きく進んだパートナーとの共創が見ものだという。

 今年のテーマは「デジタル田園都市」。業種や業界をまたぐのは当然ながら、地域の壁も超えて新しい事業を生み出そうとする人たちやデジタル田園都市を支えようとする人たち、新しい暮らしを描こうとする人たちが一堂に会する。

 会場ではサステナビリティーをはじめ、産業の変革、防災レジリエンス、スーパーシティー、スマートホーム、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)、デジタルインフラ、食とヘルスケア、ウェルビーイングなど、ソサエティー5.0を具現化するデジタル田園都市に欠かせない取り組みが展示される。いずれもパートナー連携により生まれたものが体験できるようになっている。

 鹿野氏は「共創により生まれた、さまざまなソリューションをパートナーズパークで見てもらい、確実にソサエティー5.0が具体化してきていることを実感してほしい」という。

 パーク内ではいろいろなイベントも用意されている。既に実現したソリューションの展示だけでなく、これから共創していくことを目指している企業が集まる場づくりもしている。セッションも多く用意されているため、興味のあるセッションをぜひ聞いてほしいところだ。

JEITA半導体フォーラム2022など三つの企画

半導体産業を次世代に発信

 パーク内には主催者の企画も用意した。今回は「JEITA半導体フォーラム2022」「デジタル田園都市におけるスマートホーム」「ALANコンソーシアム」の三つだ。

 JEITA半導体フォーラムは、未来を創造する半導体産業の可能性と半導体を仕事にする魅力を次世代に発信していく。半導体の技術的な解説だけでなく、半導体の役割や重要性などを学生などに感じてもらい、将来は半導体産業で働きたいと思ってもらえるようにすることも狙いにある。会場では、すごろくのようなイベントブースも用意し、楽しく半導体を感じられるようにもしている。

 デジタル田園都市におけるスマートホームでは、JEITAスマートホーム部会が中心となり、日本発の〝ハートフル〟な暮らしを提案していく。ソサエティー5.0社会の実現に向けて、日本の家電メーカーが横断で家電製品を連携させていく「イエナカ連携プラットフォーム」を構築する。

 さまざまなデータを組み合わせて、どこでも誰でも便利で安全な生活が送れることが狙いで、高いセキュリティーを確保した生活データを活用し、健康や食生活への提案などもできるようにする。

 ALANコンソーシアムは、最先端の水中光技術のデモを行い、快適になる水中の世界を提案する。今回は水中LiDARを使い、水中の物体の大きさや構造を立体的に見える化する技術のほか、水槽内で1メートル以上の距離での高速大容量な水中光無線通信を実演する。水中でもインターネットにつなげられるようになる。さらに水中で、光によって電力を無線で送電する方式を展示。レーザー光でミニチュア潜水艦を動かす。

メタバースエキスポジャパン2022

メタバースの共創提案

 パークで注目したいもう一つの展示が「メタバースエキスポジャパン2022」。パーク内にひときわ大きなスペースを使い、20以上の企業がメタバースの共創を提案する。

 多くの企業がメタバースに注目しており、ソサエティー5.0の具体的な姿の一つとしても期待されている。日本企業の多くがメタバース事業への参入を果たしており、仮想空間のプラットフォームをはじめ仮想現実(VR)や拡張現実(AR)機器、5Gネットワーク、NFT・暗号資産といった、さまざまな製品やサービスが生まれてきている。

 メタバースエキスポジャパンでは、20社以上のメタバース企業が一体となり各社の製品やサービスを実演するとともに、メタバースの現状と将来像を提案していく。

 このブースでの展示は、CEATECをはじめとした展示会の在り方やリアルとバーチャルの融合について考えるきっかけになるような提案も行われる予定になっている。