2022.10.25 【ミリ波】熱海を歩けば
「待つ身がつらいかね、待たせる身がつらいかね」と身を案じて探しに来た親友にこう言い放ったのが作家の太宰治▼檀一雄の「小説 太宰治」に詳しいが、静岡・熱海温泉で道楽を尽くした太宰の始末を友人、作家のまなざしで記している。この〝熱海事件〟が心情描写の発端となり、太宰の代表作「走れメロス」に昇華したと檀は回想する▼その熱海を週末、久しぶりに歩いた。全国旅行支援効果でごった返していると思ったが、日が暮れると通りは閑散としている。何度か立ち寄ったことがある... (つづく)