2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23年各社の戦略 アクア 西澤正城執行役員COO

西澤 執行役員

技術の横展開で相乗効果

中・長期的ブランド戦略に取り組む

 2012年に誕生したアクアにとって、22年は10周年という節目の年だった。コロナ禍で材料費や輸送費の高騰、半導体不足、円安など、メーカーとして激動で逆境の一年になったが、その中でオンリーワンを目指してブランド認知の向上に努めてきた。

 22年は「新しい商品」を切り口に製品開発を進めてきた。メインターゲットを30~50代に、デザインにもこだわった薄型設計の冷凍冷蔵庫TZシリーズ、冷蔵庫や家具の隙間に置けるスリムなフリーザー「AQF-SF11M」、ドラム式洗濯乾燥機「まっ直ぐドラム」をはじめ、掃除機とブロワーの両方で使えるコードレスハンディー掃除機「HANDY DUO!」、スティッククリーナー「Pet Primo」など、特長がある機能の製品でブランド認知を向上させた。

 現在の日本市場では、国内メーカーの人気が高い。われわれの本社は中国にあるが、欧米を含めて各国でトップクラスの家電メーカーがグループ会社として名を連ねている。「多国籍企業」の一面があると考えている。

 海外で人気の機能やデザインも取り入れ、ポジティブに製品開発に努める。ここ5年で礎を築きたいと考えている。日本の文化を大切にしつつ、新しいニッチな分野にチャレンジしやすい企業として、中・長期的なブランド戦略にも取り組む方針だ。それにより、現在の10~20代がわれわれのメインターゲットの年齢になった時に、ブランドのファンとしてユーザーになってもらいたい。

 これまで、スタンダードな価格帯の製品でシェアを拡大してきた。近年はミドル~ハイエンドの展開を増やしてきたが、さらにポジションを上げていきたいと考えている。スタンダードとの二極化で製品開発を行うことで、技術を横展開させて相乗効果も狙っていきたい。メーカーとして、発展途上だと自覚している。だからこそ、従業員のモチベーションとスピード感のある事業の進め方は負けていないと自負している。

 製品開発ではほかとは違う発想を大切に、特長のあるデザインや機能を特化したPRで新規参入の切り口にしていきたい。クリーナーのPRを、ペットを飼っている人に特化したことで、ターゲットにしっかりと製品を届けることができた。SNSの運用も引き続き行いながら、直接ユーザーにわれわれの思いを届けていきたい。

 23年は、後半に向けて輸入コストも少し緩和されるのではないかと考えている。販売効率を考えてロスがないように業務に当たることは大切だが、今一度基本に戻ることが必要だと考えている。省エネ、節約志向と機能やデザイン性を兼ね備えた製品を開発する。

 衣類が傷まない洗濯機や食品が長持ちする冷蔵庫など、われわれの製品を使用することで、ユーザーに「お買い得な商品」と感じてもらいたい。メーカーのポジショニングの中でできる最高な製品を揺るがずに作ることで、20周年、30周年と歴史を積み重ねていきたい。