2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望 ルームエアコン

23年のエアコン商戦では、電気代高騰のなか、ますます省エネ提案が求められる

高付加価値・省エネに関心強まる

 ルームエアコンは、室内の快適、省エネなどへのニーズを背景に、浮き沈みはあるものの堅調な需要が続いている。とりわけ電気代高騰や諸物価高騰を背景に節電意識が高まり、付加価値の高い省エネモデルへの関心は強まっている。

 また、冬場においては、メインの暖房機としてルームエアコンが定着しており、暖房時の快適性向上に関する進化した機能・特長の面でも、付加価値モデルは注目される。

 電気代や物価が高騰する中で、エアコンにはより省エネ・経済性が求められるため、快適性や清潔性まで、総合的な商品力を訴求することで、商機をつかむことは可能だ。

 ルームエアコンは、夏場の熱中症対策をはじめ、冬場におけるメイン暖房機としての役割も担い、もはや暮らしに欠かせない必須の設備となっている。

 一方で、家庭内で最も電気代がかかる機器でもあり、電気代が値上がりする中、ますます省エネ・経済性が問われることになる。

 コロナ禍で、在宅時間が伸び、室内の清潔性、快適性、空気の質などへの関心は全般的に高まったことから、ますます室内空間の最適な空調を担うエアコンの必要性は強まっており、古い機種を持つユーザーに対する最新モデルへの買い替え提案には好機を迎えている。

 ルームエアコンの市場全体は、2022年度に入り上海ロックダウンや部品不足などを背景に、商品供給に影響が出たほか、夏場の天候不順もあり、上期(4~9月)は前年を下回って推移した。

 通期で見ても、電気代や諸物価の高騰で消費意欲が減衰することが考えられ、一方で新型コロナに絡んだ規制が緩み、旅行・レジャーへの支出が増えるといったことも関係して、エアコンを含めた家電購入への影響を懸念する向きもある。

 ただ22年4月から11月までの出荷統計(日本冷凍空調工業会まとめ)によると、出荷台数は前年同期比96.6%の642万5000台となっているが、11月までの5カ月間は連続してプラスとなったほか、4~11月累計の出荷金額は前年同期比102.9%と伸長しており、単価は上昇傾向にあり、付加価値の高い省エネ機種へのシフトが進んでいることがうかがえる。

 このまま通期でいくと前年並みあるいは前年割れでの推移になりそうだが、いかに省エネ買い替え提案を強めるかによって、付加価値の高いビジネスにつなげられる可能性は高そうだ。

 近年は、生活様式の変化により、エアコン自体の市場は900万~1000万台前後の高い水準で推移しており、エアコン市場は底上げした。需要としてまだ寒冷地域への普及のさらなる拡大が見込めることから、天候や商品供給など不安定要因はあるものの、そう大きく落ち込むこともなさそうだ。

 23年度も900万台程度と見込むメーカーもあり、生活に必須の設備として定着するなか、省エネの上位モデルへのシフトを進めることが、販売店にとっても、ユーザーにとってもメリットが大きいといえる。

 今後、電気代の値上がりや諸物価の高騰が、消費マインドにどう影響を及ぼすか不透明だが、少なくとも電気代高騰を背景に、省エネ・節電訴求を前面に押し出して需要喚起を図る努力は怠れない。

 三菱電機の調査(エアコン暖房の電気代に関する調査/22年12月)では、エアコン暖房の電気代高騰が気になる人が94.3%いる一方、「現在節電の工夫をしていない」人が約8割(79.2%)いるという。

 節電の工夫の仕方はさまざまあるが、10年以上エアコンを使い続けているユーザーには、〝買い替える省エネ〟を積極的に訴求して需要喚起を図ることが、今年は何より重要になりそうだ。