2025.05.16 ノジマが売り上げ過去最高 家電量販店5社、4社が最終益2桁増 25年3月期
大手家電量販店5社の25年3月期業績
家電量販店大手5社の2025年3月期業績が出そろい、エアコンなど季節商品の好調を追い風に、最終利益は4社が2桁増を記録した。猛暑と寒波が需要を押し上げ、10~12月期以降も堅調に推移。エディオンは18年以降で最高の売上高を記録し、ノジマも売上高、営業利益で過去最高を更新した。一方で、上新電機は期初からの不振が響き、減収減益となった。
主力の家電販売では、エアコンに加え、調理・理美容家電の高付加価値商品が収益を底上げ。冷蔵庫やテレビは買い替えサイクルの長期化などで伸び悩んだが、携帯電話は23年の電気通信事業法改正に伴う反動減から回復し、各社好調に推移した。
最大手ヤマダホールディングス(HD)は、家電などのデンキセグメントがエアコンや携帯電話の販売増で増収となったが、営業利益は減益。在庫の効率化やセルアウト(店頭実売)重視の商談に移行したことで売上総利益率が低下した。
エディオンはインバウンド需要やM&A(合併・買収)効果で売り上げや利益を伸ばすとともに、新生活需要も寄与。最終利益は5割以上伸びた。ケーズホールディングス(HD)はエアコンや調理家電などが好調で業績を押し上げた。ノジマも店舗戦略とキャリアショップ事業が奏功し、最終利益を6割以上伸ばしている。
一方、上新電機は、上期のマイナスが響き減収減益。エアコンや携帯電話は伸びたものの、他品目が苦戦。EC(電子商取引)は増収を確保した。
出退店では各社がスクラップ・アンド・ビルドを推進。ヤマダHDが出店23店・退店46店、エディオンが出店7店・退店7店などとなり、ケーズHDやノジマ、上新もそれぞれ店舗網の効率化を進めた。
家電以外の事業は各社好調だ。ヤマダHDは、住宅事業の中核であるヤマダホームズが黒字化したほか、金融、環境事業も増収増益。エディオンもリフォーム事業で増収を確保した。ノジマはインターネット事業に加え、1月に子会社化したVAIOが収益に貢献した。
26年3月期は、白物家電市場の先行きに不透明感がある中でも、プライベートブランド(PB)の拡充やウィンドウズ10のサポート終了に伴うパソコン(PC)買い替え需要などを取り込み、各社は増収増益を狙う。ヤマダHDは住環境を丸ごと提案する大型店「ライフセレクト」の出店を拡大するほか、エディオンはリフォームを強化、ノジマは補助金を軸にした省エネ家電の買い替えなどに注力する構えだ。