2025.05.14 半導体装置10社、1~3月期は8社増収 パワー半導体は軟調
半導体製造装置10社の業績
主要な半導体製造装置メーカーの決算が出そろった。生成AI(人工知能)をはじめとする先端半導体の需要は持続しており、各社の業績を押し上げている。AI関連は今後も高水準な需要が続くとみられる一方、EV(電気自動車)の鈍化などを背景にパワー半導体向けは軟調だ。今後、米トランプ政権の関税政策の影響も懸念材料となる。
1~3月の業績は、東京エレクトロン(TEL)やアドバンテストなどが前年同期比で2桁増の売り上げを計上している。
TELは、AIサーバー向け需要に伴う最先端ロジックとHBM(広域帯メモリー)が2025年も投資をけん引すると分析。26年はAIサーバー向け需要の持続に加え、パソコン(PC)やスマートフォンへのAI搭載比率の上昇も見込む。
アドバンテストは、自動車や産業機器向けなどのテスター需要は回復に時間を要すると分析するが、AI関連は継続すると予測。ダグラス・ラフィーバ代表取締役兼経営執行役員グループCEO(最高経営責任者)は「現在はAIやHPC(高性能コンピューター)向けデバイスが本格量産の段階で、次世代デバイスへの移行局面になる。半導体の複雑度が増せば、テスト内容も増加する」と需要拡大に期待を示す。
ディスコはロジック向けが堅調。今後もロジックや2.5次元パッケージ向けの需要継続を見込む。来年2月には広島市郷原町に新工場を着工する予定で、呉工場と桑畑工場の精密加工ツール生産機能を順次集約し、生産効率を高める方針だ。
ニコンの精機事業は、半導体露光装置(中古含む)の販売台数が前年同期比4台減と苦戦。FPD(フラットパネルディスプレー)の販売台数が同7台増と業績をけん引した。
KOKUSAI ELECTRICは装置、サービスいずれも売り上げが増加。世界各国でDRAM、ロジック/ファウンドリーが伸長した。
パワー半導体は軟調
AI関連の先端半導体向けが好調な半面、EVシフトなどの鈍化でパワー半導体向けは苦戦気味だ。
ロジック向けは堅調なディスコもSiC(炭化ケイ素)パワー半導体向けの出荷は減少している。東京精密の木村龍一社長兼COO(最高執行責任者)も市況について「パワー系の需要は弱含み。特にSiCは弱いが、(市況が)ボトムかどうかは分からない。ただ、中国は例外。SiCの基板ではなく、デバイスならば、中国に動きがあるのでは」と分析している。
各社にとって懸念材料となっているのは、トランプ政権の関税政策の動向だ。SCREENホールディングスが26年3月期の業績予想に米国の関税政策の影響を織り込むなど動きも出ている。
先行きが見通せないトランプ関税の動向には柔軟な対応が求められる。TELの河合利樹社長兼CEOは「規制や変化は何度も経験してきた。関税がかかったとしても、それをしのぐような生産メリットを出せる新製品の創出を急ぐのが当社の使命」と強調している。