2025.02.10 日系半導体装置10~12月期、AIけん引で過去最高など好業績 パワー半導体は減速
半導体装置各社の2024年10~12月期業績
上場する日系半導体装置メーカーの決算が出そろった。生成AI(人工知能)向け需要がけん引して2024年10~12月の業績を後押した。一方、パワー半導体向けは減速傾向である上、中国への規制も懸念材料としてあり、各社は動向を注視している状況だ。
10~12月期は、東京エレクトロンの売上高が四半期として過去2番目に高い水準となり、アドバンテストの売上高、営業利益、当期利益は四半期ベースで過去最高を計上した。SCREENホールディングス(HD)やレーザーテックなども売上高は伸長した。
SCREENホールディングス(HD)の廣江敏朗社長兼CEO(最高経営責任者)は「パソコン、スマートフォン、サーバーの成長率は鈍化しているが、(学習・推論処理の高速化を支援する)AIアクセラレーターが成長をけん引した」と説明する。
アドバンテストのダグラス・ラフィーバグループCEOは「25年の半導体市場は、主にAI関連向けが需要をけん引する。ウエハー、先進パッケージングの生産能力が拡大しており、半導体の複雑化の進展はテスト項目を増やしている」と述べる。
キヤノン(12月期)は、インダストリアル事業として半導体やFPD(フラットパネルディスプレー)の露光装置などを製造・販売しており、10~12月で売り上げが伸長。24年の1年間で半導体露光装置は前年から25%増となる233台を販売。生成AI向けのGPU(画像処理半導体)需要の拡大を背景に25年は308台の販売を計画する。一方、ニコンの精機事業では、半導体装置事業の新品装置の販売が減少し、苦戦を強いられた。
東京エレクトロンは、半導体市場の急速な需要拡大に対応し、製造子会社である東京エレクトロン宮城の本社工場(宮城県大和町) に新たな生産棟の建設を決めた。建設費用は約1040億円。6月に着工、27年夏の竣工(しゅんこう)を予定し、プラズマエッチング装置などを製造する。
東京エレクトロンの河合利樹社長兼CEOは「拡大する半導体前工程製造装置の中でもドライエッチング装置事業は特に大きな成長が期待されている。生産新棟は、現行比で労働生産性4倍、スペース効率2倍、生産リードタイム3分の1を目指す」と力を込める。
生成AI関連向けが市場をけん引する一方、パワー半導体向けの需要は減速傾向。東京精密の木村龍一社長兼COO(最高執行責任者)は「SiC(炭化ケイ素)関連の受注は感覚的に減速を感じている。24年度下期全体では上期比で半減を想定しており、今後1年程度は軟調な受注環境を見込んでいる」と話す。
懸念材料の一つにあるのは中国市場だ。国内装置メーカーの売り上げで中国のウエートは総じて高い。中国企業からの投資計画の前倒し要請の背景には、米国の規制で装置の購入ができなくなるというリスクの存在を指摘する声もある。業界では今後、売り上げに占める中国ウエートは相対的に低下すると予測されている。