2025.06.03 富士通、自社製ATMから撤退 キャッシュレス化で需要減

富士通が目指す金融サービス

富士通の八木常務=3日、川崎市中原区富士通の八木常務=3日、川崎市中原区

 富士通は3日、長年にわたり提供してきた自社製ATM(現金自動預払機)と営業店専用ハードウエアの事業を2028年3月末で終了すると発表した。ATMや営業店ハードの需要は、キャッシュレス化の進展を背景に減少傾向にあった。富士通は経営資源をソフトウエアやサービス分野に集中させ、金融機関のデジタル変革の支援体制を強化する狙いだ。ハード中心からソフト中心のビジネスモデルへの転換を進めており、ATMからの撤退もその一環だ。

 今後は、沖電気工業(OKI)のATMと営業店向けハードを活用し、従来の自社製ハードウエアに代わる製品供給体制を構築する。既にOKIとの間でハード調達に関する基本合意を4月に締結し、富士通のソフトと組み合わせた「ワンストップ型」提供を展開する。保守サポートは、最長で36年3月末まで継続予定。

 今回の方針について、富士通の八木勝執行役員常務は「ATMの需要は減少傾向にあることは認識している。だからこそ、当社はサービスやソリューションにシフトし、より汎用的なデバイスも活用しながら、金融機関のデジタル化に貢献したい」と強調。その上で「保守については最長で36年3月末まで責任を持って対応する。今後は、OKI製などの適切なハードと、当社のソフトを組み合わせた形で社会や銀行のニーズに応えていきたい」と語った。

 ATM事業に従事してきた人材の知見を活かし、今後はソフト開発などへの再配置・リスキリングを進めるとしている。