2025.05.22 電機大手8社、ソニーGと三菱が営業最高益 25年3月期
電機大手8社の25年3月期業績
電機大手の2025年3月期決算が出そろい、構造改革や中核事業の強化が功を奏して好業績が目立った。ソニーグループはゲームや音楽、イメージセンサーの好調で営業、最終利益ともに過去最高を更新。三菱電機は売り上げ、営業利益が過去最高となった。米国の関税政策の動向で不透明感はあるものの、各社は今年度も成長事業を軸に業績の拡大を目指している。
ソニーGは、エンタメを軸に関連するエレクトロニクス事業の展開を推進してきた。25年度の業績に与える米関税政策の影響について「営業利益の1割未満に抑えられる」(陶琳執行役CFO)として、成長事業でカバーする構えだ。
日立製作所はDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)を軸に、エネルギー、鉄道、社会インフラの主要3セクター全てが増収増益。「ROIC(投下資本利益率)が初めて10%を超えた」(加藤知巳執行役専務CFO)とし、デジタル事業「ルマーダ」の成長が全体をけん引した。
三菱電機もインフラ分野と空調・家電のライフ分野が業績をけん引。課題のFAシステムは減収減益となったが、「低収益事業の抜本的改革に取り組む」(漆間啓社長CEO)とし、再成長を目指す姿勢を鮮明にした。
パナソニックホールディングスは、主要事業が増収増益となり堅調だった。構造改革費を織り込み減益を予想する今年度について、楠見雄規グループCEOは「構造改革に集中する年にする」と語り、長期的な成長基盤の強化を図る考えを示した。
経営再建に取り組むシャープは、家電やスマートオフィスなどのブランド事業が業績を押し上げたことで営業、経常、最終損益が黒字化。「スタート台に立つことができた」(沖津雅浩社長CEO)とし、持続的な成長を目指す構えだ。東芝も最終損益が黒字化した。
情報通信大手では、富士通が事業ブランド「Uvance(ユーバンス)」を中心にサービス事業が好調に推移したほか、NECもDX関連の売り上げが拡大。価値創造モデル「ブルーステラ」も売り上げを伸ばし、中期経営計画で掲げた実質営業利益目標を1年前倒しで達成した。
26年3月期は、トランプ政権による米関税政策の影響をにらみつつ、各社とも成長事業を軸に収益力を高める方針だ。減収予想を掲げる企業もあるが、構造改革や関税分の価格転嫁などで利益の確保を目指している。