2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】注目度が増す「IoT家電」 各社、新需要開拓へ提案開始

 「市場環境は見通しにくい」「不透明だ」―。家電各社の経営幹部は、2023年の国内家電市場について、例年以上にそう語気を強める。

 コロナ禍以降の環境激変に加え、昨年はロシアによるウクライナ侵攻が勃発するなど、予測不可能な事態があまりにも多発した。今年、その環境が改善するとは言い難く、経営幹部は保守的な見方を強めた格好だ。

 ただ、生活に密着している家電は、生活する上で、なくてはならない存在になっている。厳しい市況でも堅調な買い替え需要は見込めるカテゴリーだ。そのため、苦しい中でも「恵まれている業界」と話す経営幹部もいるほどだ。

 一定の買い替え需要があるとはいえ、〝攻め〟の姿勢も問われてくる。変化したライフスタイル下で家電の需要構造も変わってきた。家事負担の軽減という主目的ばかりでなく、より豊かな生活を送るための家電という位置付けが、以前より明確になってきた。そうしたニーズを捉えるデザイン家電や単機能家電は今年も熱い視線が注がれるところだ。

 住空間では、癒やしや喜びを与える生活シーンの実現のために、家電同士の連携はますます重視されるだろう。そういう視点からIoT家電の注目度は増す。IoT家電も機器の連携から、それを生かした見守りサービスの提供などにも踏み込み、新たな需要開拓に向けた提案を開始している。

 「おうち時間」「パーソナル空間」「快眠」「癒やし」「IoT」など、家電に関するさまざまなキーワードが出てきている。「モノ売り」から「コト売り」への転換はここ数年、家電各社の間で進んでおり、生活シーンにおける使われ方を重視した製品開発の方向性は強まる一方だ。

 そのシーンの多様化が加速度的に進展している現在、SDGs(持続可能な開発目標)の実現も見据えた経営戦略が、家電各社の業績にも今後は影響してくるはずだ。先々の社会環境を視野に入れた際、IoT家電をどう効果的に活用していくかも、今年はさらに各社に問われてきそうだ。