2023.01.04 【家電流通総合特集】地域店 人材採用、育成と省エネ家電普及の課題

採用を進めつつ、育成にも注力(京都電工)

人材採用と育成 働き方改革など職場環境整備 社外の教育機関を活用

 「人材」に関する電器店の課題は多い。採用方法や育成方法などさまざま。一方で、優良の求人サイトを活用した採用や外部研修などを行い、社員の知識が向上する独自の施策を推進している店もある。各店に人材への取り組みを聞いた。

人材採用

 求人サイトを活用した採用などで人不足を解消しようとする動きもある。働き方改革も含め、就業しやすい体制を整えるところも。

 鹿児島県の電器店グループのセブンプラザでは、直営店(10店舗)の新規スタッフを本社が一括採用している。学歴は問わず、業界未経験者も募集。電気工事士の資格を取得してもらうためメーカー研修を必修にしている。募集はハローワークのほか、求人情報の検索サイト「Indeed(インディード)」や採用支援ツール「エアワーク」などを活用。時期を問わず募集しており、現在は中途採用がほとんどだ。

 「経験者に絞ると集まらないため、採用後に一から育成している」と山口誠社長。昨年年は新たに2人を迎え入れ、現在は鹿屋本店(鹿屋市)で研修を受けている。「給与面だけでなく、体と心を休める環境づくりが必要」とし、直営店では隔週週休二日制から、完全週休二日制に切り替えた。各店は毎週定休日にして、鹿屋本店でも月二回の定休日を設定している。閉店時間も午後7時から同6時に繰り上げた。

 プラグインいしい木更津店(千葉県木更津市、石井禎人社長)は、ハローワークと転職サイト「エン転職」を利用し、3人の社員が加わった。有料の求人募集サイトは、募集時にアドバイスしてくれる。同店のコンセプトを明確化しており、共感した人が応募。もともと違う業界にいた人材を採用したこともあり、前職の経験を生かしてスマホ教室を開催したりコーヒーを振舞ったりするイベントにつなげたという。

 イースラップチェーンの京都電工(京都市中京区、河村泰三社長)は、人材育成や労働環境の整備などに取り組んでおり、昨年春には女性社員が新たに入社した。「約10年採用を行なっておらず、一番の若手が30代後半なので、京都府が行う人材確保塾で学んだ。Z世代に刺さる言葉を考えるなど積極的に学びを実践し、社員にも自然と人材確保や育成の意識付ができた」と河村社長は話す。同店ではIoT家電の普及を目指し、12月には社長から社員へスマートスピーカーをクリスマスプレゼントとして提供。若い従業員たちからも実用性に驚く声があるという。

人材育成

 人材育成では自社だけでなく、社外の教育機関も活用する。

 あい電ダイワ・一番館店(山形県酒田市、斎藤哲男会長)では、10年前から地元の高校から新卒者を採用している。今年も4月から、地元の山形県立酒田光陵高等学校から2人の採用が内定している。10年前に斎藤会長が同校を訪れ、担当教諭に対して、会社の考え方やビジョンなどを説明、新卒者を紹介してもらうようになった。採用後は、メーカーなど、外部研修などを実施している。「外部研修なども行っているが、それだけでは育たない。社会人になって組織としての考え方や会社としての方針などをしっかり学ぶようにしている」と斎藤会長。昨年4月から1週間に1回、組織の在り方、人と人とのかかわりなどのテキストを参考に、読みながら話をするようにしているという。

 ナショナルヤガタ本店(名古屋市千種区、矢形修己社長)は、大谷翔平選手愛用のマンダラチャートなどを活用し、社内外の人材を育成。更年期障害を正しく理解してもらうためのセミナーも実施している。

 人材育成の研修では、月初宣言も使用し、各自TODOや目標の達成度、振り返りを見える化、プレゼンテーションを励行。昨年10月は名古屋市のニート状態の若者を対象に研修を行った。