2023.01.11 【電子部品総合特集】東京コスモス電機 岩崎美樹代表取締役社長 力覚センサーでロボット参入

岩崎 社長

 2021年から進めてきた業務効率向上への取り組みの成果に円安効果も加わり、22年度上期は計画を大きく上回る収益を上げることができた。下期に入り、半導体不足による車載メーカーの減産、ウクライナ紛争、世界経済の落ち込みなどの影響がそれを上回る状況になっている。

 23年もこれらの影響は継続する上に、やや円高方向に戻ってきている為替に関しても大きなリスクを抱えている状況であり、先の見通しが難しい環境が継続すると考えている。

 マクロ的には厳しい環境下ではあるが、半導体などの部品不足により遅れていた力覚センサー2機種について、ワコーテックと協業でリリースし、ロボット業界へ参入する。

 ミリ波レーダー関連の新市場参入を目指した取り組みを開始。REFRECRAFT社と技術提携することにより、ドーム型電波暗箱やミリ波レーダーおよびLiDAR用レドームに付加価値を付けた新規商材の開発がスタートしている。

 一方、コア技術である抵抗素子においては、従来は制御が難しかった高温領域においてもPTC性能を発生させる急速昇温高温PTC素子の開発に成功した。この技術については、電気自動車や燃料電池車両をはじめ、幅広い分野で使用される可能性を持つと考えており、いろいろな用途で期待されている。

 当社の祖業となる可変抵抗器分野においては、高級無線機用に新機能を搭載した製品の生産出荷がスタートした。トリマポテンショメーターは自動車向けコーナーセンサーで引き続き需要の拡大を見込んでいる。

 フィルムヒーターは安全運転支援カメラ用途から住宅建材へと市場が展開した。この分野に合致した生産性の向上を推進していく。

 角度センサーは二輪車用で生産が計画されており、生産準備の最終段階に入っている。農機・建機の採用は引き続き好調を維持する見込みである。

 これらの製品開発は、CO₂排出量など環境負荷の削減と両立させることを目指し、環境にやさしいモノづくりを実践する。

 新型コロナウイルスの終息が見えない中、ワークスタイルを変革して従業員が働きやすい環境づくりに取り組み、DX推進による生産体制の効率化や業務効率の向上などにより、マクロ環境の影響を最小限に抑える体制を構築していく。