2023.01.11 【電子部品総合特集】ニチコン 吉田茂雄社長 一致団結で中期成長目標に注力

吉田 社長

 23年は市況の変化が大きく、伸びていくものもあるが、全体では厳しい年になると思う。22年度上期のような良い市況ではない中で、どういう分野にどの商品で伸ばしていくかを考えていかなければならない。23年度も増収増益を目指し、25年度連結売上高2000億円、営業利益率10%以上を目指す中期成長目標「Vision 2025」を一致団結してやり遂げていく。

 品質・コスト・納期・サービス・技術など、あらゆる面で最上級を目指すトップノッチ経営と、モノビジネスからコトビジネスで付加価値の高いビジネスを展開する方針に沿って、変化に対応しながら社員一人一人が自分の責任を果たしていくことが大事だ。

 コンデンサー事業は、アルミ電解コンデンサーとフィルムコンデンサーに絞り込み、積極投資で顧客の要望に応える供給体制を整えている。NECST事業は、環境・エネルギーの切り口で商品ラインアップを強化している。22年度は120億円の設備投資を計画通り実行し、アルミ電解コンデンサーは需要が急増しているチップを岩手とマレーシアで、導電性高分子ハイブリッドを岩手で増産し、全体の生産能力を22年度中に21年度比1.2倍に増やす。フィルムコンデンサーも増大する車載向けを中心に中国・宿遷、長野・諏訪の両工場で増産し、22年度中に全体の生産能力を21年度比1.5倍に引き上げる。

 NECSTは、環境意識の高まりで販売が増えている家庭用蓄電システム、V2H、急速充電器、産業用分散システムに注力する。市場・顧客ニーズをつかみ、よりよい製品を市場投入していく。昨年春に発売した太陽光で発電した電気を家庭や、EVに活用できるトライブリッド蓄電システムは早くも22年度収益に貢献している。10月にはNECST商品の主力工場・亀岡にV2Hシステム、トライブリッド蓄電システムを設置して電力の〝家産家消〟を体験できるモデルハウス「ニチコン明るい未来館」を開設し、取引先などが活用している。

 23年度も100億円の設備投資を継続して実施。年間50億、60億円の研究開発投資も行う。NECST商品の供給体制を増やすため、亀岡に新棟を今秋竣工(しゅんこう)予定で6月から建設にとりかかる。V2Hと急速充電器の生産能力を2倍以上にする。