2023.01.11 【電子部品総合特集】京セラ 谷本秀夫社長 売上高3兆円の土台をつくる

谷本 社長

 今春、当社として初の中期経営計画を発表する。2022年度売上高は2兆円を見込み、2兆円で足踏みすると思っていた売り上げが、一気に3兆円にまで行く勢いのため、かなりの先行投資により成長軌道に乗せていく。中期経営計画では売上高3兆円には届かないが、税引前利益率15%を目標にするつもりだ。利益はきつくなるが、3兆円の土台づくりまでやるのが私の仕事だ。

 社長就任以来言い続けてきた組織に横串を通し、新しい技術、新しいものを創ることにさらに磨きをかけ、生産性倍増もDXを組み合わせて推進する。設備投資も23年度は22年度2000億円を上回る3000億円を予定。23~25年度の3カ年で累計8000億~9000億円の設備投資を計画。その5割超を、需要が旺盛な半導体製造装置用ファインセラミック部品、セラミックパッケージ、有機パッケージの増強に、4割をMLCCなどの電子部品やEV用部品の増強に充てる。

 30年には半導体市場が今の2倍になると予想される。最先端装置の受注残だけで2、3年抱えている半導体製造装置メーカーのファンセラミック部品需要に、滋賀八日市工場の新棟の稼働に続き、鹿児島国分工場新棟を今夏に完工、稼働させ増産する。新棟稼動で鹿児島国分工場のファインセラミック部品生産能力を25%増やす。それでも足りないので、鹿児島国分工場の横に20ヘクタールの土地を手配した。

 人の採用も考えて長崎県諫早市に15ヘクタールの土地を取得した。1000人規模の工場として26年に稼働させ、産業用ファインセラミック部品を生産する。パッケージも生産することになると思う。

 有機パッケージは、当社生産棟で最大規模の鹿児島川内工場新棟を4月以降に順次稼働させ、セラミックパッケージと合わせて増産を進める。川内工場向かいに4ヘクタールの土地を手配した。ベトナム工場新棟も4月以降に順次稼働、セラミックパッケージを増産する。

 新規事業もGaNレーザーも車のヘッドライトやスタジアムなどの特殊照明などで2、3年後に立ち上がる。エピの前工程は米国で、後工程は東南アジアに外注だが、立ち上がってくればベトナム工場で生産する。30年には売上高1000億円の事業にしたい。インクジェット捺染(なっせん)プリンターも23年度初めに発売する。衣服の染めなど、商業用に売り上げを伸ばしたい。