2023.01.10 【製造技術総合特集】日本アビオニクス EV中心に接合事業が好調推移 電池、モーター向け技術に強み

竹内 社長

 日本アビオニクスの2022年度業績は、原材料価格高騰と円安の影響を大きく受けたが、経営基盤の強化で計画通りに進捗(しんちょく)。竹内正人社長は「受注残が積み上がっており、年間の業績予想に変更はない」と話す。

 プリント配線板事業の移管などで低迷した時期を経て、竹内社長が就任した19年からは「変革期」と位置付け、社内の意識改革やプロセス改革に着手。ものづくり力を強化して、事業基盤の確立を図ってきた。

 NECグループからの独立を経て、業績はV字回復を遂げ、22年度は売上高200億円を見込む。竹内社長は「新たな〝成長期〟のスタートラインに立てた」と自信を見せる。

 売り上げの約6割が防衛分野の情報システム事業で、接合機器事業は赤外線サーモグラフィーを用いたセンシングソリューション事業と並ぶ民生部門の柱。

 抵抗溶接、パルスヒート、超音波、レーザーの接合4工法を持つ。接合強度、コスト抑制、品質重視などの顧客ニーズを総合的に判断して最適な接合ソリューションを提供できるのが強みだ。

 22年は電動化やCASE開発が活発な自動車市場が引き続き好調で、同社の接合機器に対する需要が大きく伸長。電池のタブ材料は従来のニッケルから、電気伝導に優れた銅合金に置き換わりつつある。銅合金タブは接合が容易でなく、同社の抵抗溶接の技術が生きるアプリケーションだ。

 次世代の全固体電池向けには水晶デバイスのシーム封止技術が応用可能。既に国内メーカーから全自動機の受注実績が生じている。

 モーター、ハーネスもEV関連のメガトレンドの一つだ。モーターには、はんだ付けから抵抗溶接機を用いた直接接合を、ハーネスには軽量化の要求に応じたアルミ材の接合用途に超音波金属溶接機をそれぞれ訴求する。

 小型・狭ピッチ化する光デバイス向けにはブリッジを抑制してフラットケーブルを接合できる変位制御パルスヒートが有効となる。

 23年の接合事業は自動化やトレーサビリティー、品質の確保をキーワードにM&Aも視野に成長戦略を進めたい考えだ。