2023.01.18 【情報通信総合特集】NEC 雨宮邦和執行役員常務

〈社会公共ビジネスユニット担当〉

暮らしやすいデジタル社会を実現

 政府は、全国の自治体が2025年度末までにガバメントクラウド(政府共通のクラウドサービス利用環境)を活用した標準準拠システムに移行する方針を決めた。それを受けて各自治体が、準備を進めている。医療分野にも標準化の動きがあり、新しい活動が増えてきた。そのほか、消防・防災や都市交通、エネルギー、放送・メディアの案件もどんどん獲得できた。社会公共ビジネスユニット(BU)としては、忙しい一年だった。22年度の収益は、前年度比プラスの見通しだ。

 公共関係の寄与度が大きく、受注が増えている。自治体の窓口業務を改革し、住民サービスの向上につなげるソリューションを提供してきた。さらに「マイナンバーカード」内の電子証明書を利用して本人確認を行うサービスにも力を入れており、その受注も獲得できた。

 医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しするクラウドサービスの展開にも力を入れ、ユーザー数が着実に増えている。オンライン診療の利用拡大に向けた規制緩和も追い風となっている。また、内視鏡検査時に病変を見逃さないよう支援する技術を搭載したソフトウエアの展開も期待できる。

 自治体向けでは今後も、全国の販売店と連携し、システムの標準化を支援する取り組みに注力する。ただ、標準化は手段でしかなく、住民が便利で暮らしやすいと実感できるサービスをいかに立ち上げるかが重要。使いやすいサービスを企画し、提案していきたい。明確なメリットを住民に示すことができれば、社会のデジタル化が一気に進むだろう。

 顧客の業務をよく理解し「こうした方が効率的でコストを削減できる」という提案を行ってきた。そこで培ったノウハウを生かして(顧客が求める機能をまとめたパッケージ)オファリングを作ってきた。オファリングを広げるスキルを豊富に持っていると自負している。こうした強みを意識し、NECグループをオファリングで先導できるBUになりたい。オファリングを拡充し、収益の向上に貢献したい。