2023.02.10 日本電子の理科教育支援活動、電子顕微鏡で体験型授業・コロナ禍も継続で通算700回

電子顕微鏡の仕組みを学ぶ講義(稲城市立稲城第三小学校)

SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校の都立日比谷高校で宇宙塵(じん)の研究協力SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校の都立日比谷高校で宇宙塵(じん)の研究協力

 日本電子は、子どもたちに科学の楽しさを伝える理科教育支援活動として、2007年から自社の卓上走査電子顕微鏡を使った出前授業を行っている。

 当初、本社のある東京都昭島市や近隣の小学校などで実施してきたが、11年に発生した東日本大震災後は復興支援として東北地方の小学校でも開始し、毎年訪問を続けている。

 東京都日野市の小中学校では、東京都教育委員会の「理数授業特別プログラム」で授業を行ってきた。プログラムの満了後も日野市教育委員会の要望で継続している。

 授業では、電子顕微鏡の仕組みを学ぶほか、電子顕微鏡を操作して植物の花粉や昆虫の体などを観察。3Dメガネで電子顕微鏡写真を立体的に観察したり、アクリル樹脂で固めた昆虫や植物の実、貝などの標本をスケッチしたりする。

 昆虫などを近くで見る機会が少ない子どもたちが、標本を手に取ってじっくりと「観る」ことで、新しい世界に興味が湧くよう創意工夫を凝らした。

 こうした体験型の授業に対し、担当教諭からは「子どもたちは充実した学習ができた」「児童・教職員ともに多くの学びを得ることができた」といった声が上がった。子どもたちからは「竹炭を拡大すると顔みたいな穴があってびっくりした」「普段見ることができない細かなところまで見られて特別な体験だった」「理科は苦手だけど楽しい授業だった」など、微細な世界への興味や電子顕微鏡についての関心も寄せられた。

 今年度は新型コロナウイルス感染の第7波と夏休み期間中が重なったが、中止となる授業やイベントはなく、感染症対策や人数制限をして開催された。

 昨年10月9日に山形大学理学部で行われた「ジュニアドクター育成塾ヤマガタステム(STEM)アカデミー」には、小学5年生から中学生まで37人が参加した。参加者からは電子顕微鏡を操作する楽しさや、普段見ることのできないミクロの世界に驚きの声が聞かれた。

 同社Webサイトの理科教育支援コンテンツも拡充。動画(「電子けんび鏡でモンテディオ山形のユニフォームの秘密を探ってみた」)や、電子顕微鏡画像の理科クイズ(「探検!ミクロの世界~学校編~これってなぁに?」)を公開した。

 これまで小・中・高校や科学イベントで、電子顕微鏡を使った授業や電子顕微鏡の体験教室を約700回開催。学校の授業では体験できない実習を通して、未来の科学技術を担う人材育成につながることを願い、コロナ禍でも状況に応じた方法で理科教育支援活動を継続する考えだ。