2023.03.02 【「空質商品」特集】生活空間に不可欠な製品、需要堅調

空気清浄や換気はアフターコロナでも当たり前の感染症対策になる

 コロナ禍を経験し、空気質に対する意識は高まった。5月8日から季節性インフルエンザと同等の「5類」に感染症法上の位置付けは変わるが、感染防止対策として空気清浄、換気の必要性は依然として残る。空気清浄機や換気扇などは、コロナ禍で高まった需要に落ち着きは見られるものの、生活空間に不可欠な製品としての認知が広がったこともあり、堅調な需要が今後も期待できる。

 日本電機工業会(JEMA)の統計では、2022年(1~12月)の空気清浄機の国内出荷台数は204万9000台。前年比で見ると3割以上減ったことになる。換気扇は605万3000台と4%程度の減少にとどまっている。

 空気清浄機は一時的に需要が急激に膨れ上がったこともあって、その反動が出ている形。参入メーカーも増え、UV(紫外線)や光触媒を使った除菌器も、大型品から卓上型まで幅広い製品が市場にあふれている状況だ。家庭だけでなく、飲食店や商業施設、医療機関、ホテルなどあらゆる場所に常設されるようになっている。すぐにとはいかないが、今後はそのリプレース需要が来るため、空気清浄機市場は確実に底上げされた。

 一方、換気扇は、新築住宅の着工件数にも左右される商材。国内の着工件数は伸び悩み傾向であるため、今後は新たな提案により既設住宅や施設への設置が重要になってくる。「おうち時間」の増加で住宅向けでは、換気扇にもインテリアとの親和性が求められる面も出てきている。

 特に換気については社会的な関心の高さと相まって、ルームエアコンに換気機能の搭載が進むなど裾野に広がりが出てきている。二酸化炭素(CO₂濃度に合わせて自動で風量を切り替えるなどの換気対策を行える機器も登場している。

 新型コロナウイルスの5類への移行で、アフターコロナが本格化する。空気清浄や換気などは、設備の中でも重視することが当たり前となったことから、アフターコロナの中でも、コロナ禍前以上に標準的に導入されていくはずだ。

三菱電機の主力製品「ヘルスエアー機能」搭載循環ファン

空気中の浮遊物質抑制・快適な室内環境を保つ

循環ファンの30畳用

 三菱電機は、プラズマ放電で空気をきれいにする「ヘルスエアー機能」を搭載する循環ファンの販売を強化していく。

 循環ファンは、住宅向け天井設置タイプの10畳用、店舗や施設などの広い空間向け壁掛けタイプの30畳用をラインアップする。それらに搭載するヘルスエアー機能は、ウイルスや菌、花粉、PM2.5など空気中のさまざまな浮遊物質を抑制するものだ。

 「ヘルスエアー機能ユニット」は、風路全体に電界・放電空間を形成して通過する物質を抑制して、電気集じんする。「ホコリ取りフィルター」や「脱臭フィルター」も備えているため、大きな粒子や臭いも抑えられる仕組みだ。

 循環ファンの10畳用は、天井から24時間空気を清浄することが可能で、弱運転で21デシベルの静音性も実現。1kWh当たり31円で1カ月(30日)間24時間運転した際の電気料金は約156円になる。

 天井だけでなく、壁にも設置可能。天井裏や壁厚は121ミリメートル以上あれば設置できる。換気扇などと異なり、ダクト工事が不要であるため、設置もしやすい。住宅に限らず、飲食店や調剤薬局、アパートなどへの導入が進んでいる。無線リモコンタイプと壁スイッチタイプを用意することで、設置場所に応じて操作しやすくしている。

 壁掛け型の30畳用は、床スペースを有効活用できる上、据え置き型ではないために接触して転倒するなどの心配が不要になる。「ニオイセンサー」を標準搭載したことで室内の臭気を検知できるようになった。臭気の濃さの変化に応じて風量を自動で切り替える「自動運転モード」を実現し、快適な室内環境を整えてくれる。

 ヘルスエアー機能ユニットは6カ月に1回程度の水洗いで性能を維持できる。取り外したヘルスエアー機能ユニットは、水またはぬるま湯で洗い流すだけでいいほか、脱臭フィルターも汚れを水で洗い流した後、約30分水につけると性能が再生する。羽根には「ハイブリッドナノコーティング・プラス」を採用し、ほこりの付着による性能悪化を抑制している。

 天井設置タイプと異なり、30畳用はより大空間で使えるため、飲食店や医療・福祉施設、ホテル・旅館、フィットネスジムなど、業務用途での導入が進んでいる。