2020.01.30 東京都が水素エネルギー推進セミナー 五輪選手村でAI活用しエネルギーマネジメント

小池百合子・東京都知事が参加したNEDOとの締結式の様子が映し出された

聖火や都営バスでも水素活用

 東京五輪の開催を今夏に控える東京都は30日、五輪でも重視する水素エネルギーの普及拡大に向け、官民一体の動きを加速させるため、水素エネルギー推進セミナー「水素が動かす、東京の未来」をJPタワー(東京都千代田区)で開催した。

 都が、五輪での水素活用方法などを紹介したほか、関連する団体や民間企業が取り組みを報告。約300人が聴き入った。東京都は、水素の分子量にちなんで、2月1日を「東京水素の日」と定め、その日の近辺にセミナーを開催しており、今回で3回目。

 東京五輪では、聖火台を史上初めて水素で灯す準備を進めているほか、東京都などは大会までに都営バスで燃料電池バスを現行の15台から70台にまで増やすことを目指している。「五輪をショーケースとして活用し、技術を世界に発信する」(東京都環境局)狙いだ。

 セミナーでは、東京都都市整備局が、中央区晴海で整備する選手村(約18ヘクタール)の大会後も見据えたエネルギー構想を紹介した。

 「エネルギー源の多様化・多重化」や「地産地消と貯蔵」などの方向性を提示。水素ステーションを設置し、水素パイプラインもあらかじめ整備したうえで、純水素型燃料電池で住宅棟などに電気や熱を供給する。「水素パイプラインの施工は、ほぼ終わっている」(東京都都市整備局)段階という。

 選手村内での水素エネルギーや太陽光発電などについて、AI(人工知能)を活用したエネルギーマネジメントを導入して、低炭素化や防災性の強化に役立てる。

 例えば、AIによる電力需要予測を行うほか、地区ごとに利用状況を管理し、ピークに負荷がかかるエネルギー源を多様化するなどしてエリア全体でのエネルギー利用を最適化するという。

 また、セミナーでは東京都と水素に関する情報発信などで包括的な提携を結んでいる新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の大平英二統括研究員が講演。欧州で再生可能エネルギーの大量導入を背景に水素の利活用が広がっていることを解説。

 中国では16年に策定されたロードマップで、30年に燃料電池自動車100万台、水素ステーション1000カ所に増加させることなどを目標としていることを紹介し、「急速に存在感を増している」(大平氏)という。