2020.02.04 【コネクタ総合特集】生産・開発体制拡充へ投資に注力

日本航空電子工業が今年度下期から稼働させた台湾新工場(台湾・彰化縣)

新工場建設など進む グローバル生産力を増強

 コネクタメーカー各社は、国内外で生産体制や開発体制強化に向けた投資を活発化させている。各社は、グローバル生産能力増強のための新工場建設や既存工場拡張を進めるとともに、試験・評価体制の増強や、工場のスマート化のための投資などに力を注いでいる。モノづくり力強化に向け、高速プレス機の導入や、画像による自動検査ラインの拡充などの投資も進んでいる。

 コネクタ各社の新工場建設や新工場棟増設の動きは、17年以降、活発さが続いている。19年も世界のコネクタ需要がやや軟化した中でも、積極的な投資が実行された。20年についても引き続き、積極姿勢が継続する見通し。特に、中長期的な需要増大が見込まれる車載・産業機器市場向けコネクタや、コネクタ内製部品の生産能力増強への取り組みが旺盛となっている。

 同時に、自動車業界をはじめとする主要顧客の地産地消ニーズへの対応や、BCP(事業継続計画)を考慮したグローバルでの生産拠点の複線化、既存工場での生産ラインの自動化/半自動化の強化やクリーンルーム拡張のための投資も実施されている。

 車載・産業機器・高機能モバイル端末向けのハイエンドコネクタの技術開発強化のための試験・評価体制拡充などにも力が注がれ、国内外で新たな試験センター開設などの動きが進展している。

 ヒロセ電機は、国内外でモノづくり力強化とグローバル生産能力増強のための積極投資を進めている。同社は19年に中国・蘇州工場(江蘇省蘇州市)の新棟を完成させた。主に車載用製品の生産能力増強を目的としたもので、20年度から本格稼働を予定する。国内では、菊名事業所(横浜市港北区)内で建設を進めていた新金型棟が今年1月に竣工した。

 日本航空電子工業は、産機インフラ市場向け事業強化のため、19年春に台湾・中西部の彰化縣鹿港鎮で新工場を取得し、今年度下期から稼働を始めた。既存の台湾工場(台中市)と併せて、産機インフラ市場向けコネクタの生産体制強化を図っていく。

 イリソ電子工業は、初の米州生産拠点として計画中のメキシコ新工場について、当初計画していた20年度中の着工は行わず、早くて21年度からの着工を見込むが、現状では22年から仮工場でのパイロット生産立ち上げ、23年度からの本格稼働を検討している。

 また、かねて計画していた、グローバルでの組立工場のクリーンルーム化を19年までに完了させた。

 本多通信工業は、新たな海外生産拠点としてベトナム委託工場の準備を進めており、20年夏頃からの量産開始を目指している。ベトナム委託工場は海外主力工場の中国工場(広東省深圳市)に次ぐ、車載カメラ用コネクタのセカンド拠点として開設する。