2023.05.01 電子部品大手5社決算、業績の拡大基調続く

小型積層セラミックコンデンサー(MLCC)

 電子部品企業の業績の拡大基調が続いている。4月末までに発表した電子部品メーカー主要5社(TDK、ニデック、村田製作所、日東電工、アルプスアルパイン)の22年度(23年3月期)連結決算は、売上は4社が過去最高を更新、営業利益も2社が最高益を達成した。22年秋以降、部品需要が鈍化し、4Q(23年1~3月)も低調だったが、好調だった上期や為替の円安進行が通期業績を牽引した。

 23年3月期の通期連結売上は、ニデック(旧日本電産)、TDK、日東電工、アルプスアルパインが過去最高を更新。TDKとニデックは初の売り上げ2兆円超えを達成した。分野別では、xEVやADAS関連を中心とした自動車向けや、FA/産機関連、ハイエンドスマートフォンなどが売り上げをけん引し、22年春以降の急速な円安進行も各社の業績を押し上げた。営業利益もTDKと日東電工が過去益を上回った。

 22年度の電子部品市場は、上期は比較的堅調に推移したが、夏場以降、PCやタブレット、中華系スマホなどの需要が一段と悪化。それまで部品需要をけん引していた半導体製造装置やデータセンター関連も、秋以降は鈍化が鮮明となった。

 このため、多くの電子部品メーカーが、22年度3Q決算の発表に合わせて22年度の通期業績予想を下方修正したが、22年度4Q業績は想定よりも為替が対ドルで円安ぎみに推移したこともあり、結果的には4Qの売り上げ・営業利益がやや計画を上回った企業が多い。

 足元の部品受注は、民生機器向けを中心とした調整局面が続いているが、各社の23年度(24年3月期)業績予想は、下期の市場回復を織り込み、ほぼ前年並みの売り上げを計画する企業が多い。特に23年は、半導体不足が徐々に回復に向かうことで自動車の挽回生産が期待されているほか、5Gインフラ関連や産機/ロボット関連の需要増、調整一段落からのICT関連需要回復などが期待されている。

 23年度通期業績予想は、売り上げは2社が、営業利益は3社が過去最高の更新を見込む。原材料価格上昇やエネルギー価格高止まり、労務費上昇などコスト上昇要因も多いが、部品売価値上げや生産性改善などが各社の収益性を向上させる見通し(記事詳細は、電波新聞5月2日付で掲載)。