2023.06.08 東芝、国内連合TOBで株主に応募推奨決議 買収成立へ前進
オンライン会見に臨む島田社長兼CEO=8日
東芝は8日、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする企業連合が行う予定のTOB(株式公開買い付け)について、株主に対して応募を推奨することを同日の取締役会で決議したと発表した。JIP連合は7月下旬をめどにTOBを開始し、東芝の全株式の取得を目指す。応募推奨を表明したことで、買収成立に向けて大きく前進することになる。
東芝は3月、JIP連合の買収提案を受け入れると発表した。買収額は総額約2兆円。これに対して東芝は、TOBに賛同の意見を表明するものの、株主への応募推奨までは明言していなかった。
応募推奨に至った背景には、不透明なマクロ経済やキオクシアグループを取り巻く厳しい事業環境などがある。東芝は当初、JIP連合による買収価格を不十分としていたが、顧客や取引先などを含むステークホルダー(利害関係者)からの反応も加味しながら、提示された1株当たり4620円のTOB価格の公平性と妥当性について検討。JIP連合による提案以外の再編案もなく、「応募推奨に値する」と判断した。
東芝が同日に開いたオンライン会見で島田太郎社長兼CEOは、「安定的な株主基盤を実現するための手段としてJIPの提案が有効な手段であると判断した」と説明した上で、利害関係者からの反応にも言及。「非公開化により安定した経営基盤を構築することに対する期待と重要性をあらためて認識している」と述べるとともに、中長期的な視点で会社を変革する姿勢も強調した。