2023.07.03 大規模言語モデルの開発支援 AWS、日本企業向けに独自プログラム

 米アマゾン傘下でクラウドサービスを提供するアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)ジャパンは3日、生成AI(人工知能)の基盤となる「大規模言語モデル」開発を支援する日本企業向けの独自プログラムを立ち上げた。モデル開発に必要な計算機リソースの確保に向けたガイダンスや事前学習コストの一部負担などの技術支援を行う。

 米オープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」の登場により、多くの企業が生成AIの開発に取り組む一方、独自に大規模言語モデル(LLM)を開発するにはAIの専門知識に加え、モデルを学習するための大量の計算機リソースの確保などのインフラコストなどが障壁となっている。

 そこでAWSジャパンは、クラウドサービスAWSを通じて、文章や画像を作り出す生成AI「Bedrock」の提供を始めるなどの実績を生かし、日本国内の企業・団体をサポートする「AWS LLM開発支援プログラム」を日本独自で展開することになった。

 LLMの性能の指標の一つとなるパラメーター数は数十億〜1000億以上の規模の事前学習に取り組む日本国内に法人・拠点を持つ最大10程度の企業・団体を選考。計算機リソースをAWS上で確保するためのガイダンスや技術相談に応じるほか、事前学習などの費用を一部負担し、開発したLLMのビジネス活用まで支援する。総額600万ドル(約86億円)規模の投資を行うという。

 7月21日に応募を締め切り、技術・ビジネス・研究開発の観点から総合的に判断して同月内に選考結果を通知。8月初旬から11月末までLLM開発を支援する。12月中にプログラムの成果発表会を開催する予定。

 AWSジャパンの長崎忠雄社長は「生成AIを迅速かつ安全に使用するためのガイダンスを求める声は日々高まっている。日本独自のプログラムとして、国内の企業を支援していきたい」と話した。

 (5日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)