2023.07.14 【電子部品技術総合特集】日本ケミコン 野上勝憲上席執行役員CTO
野上 執行役員
技術の瞬発力を重視
技術プラットフォーム構築へ
日本ケミコンは、技術方針に「コンセプト主導型の商品開発」を掲げる。野上勝憲上席執行役員CTOは「顧客の気付きを促す商品開発のため、それを支える『商品開発・基礎研究』と『マーケティング活動』を一本に結んで取り組んでいる。重視するのは技術の瞬発力、そして技術のプラットフォーム構築を進めている」と説明する。
技術本部はマーケティング部門も有しており、情報を共有することで、個々の技術者が自身の開発技術が社会や顧客にどのような価値を与えているのかを考えながら日々の活動に取り組むことを重視している。「マーケティングから商品開発、基礎研究までを一気通貫で行うのがポリシー。それにより技術のピボットも可能になり、開発の効率化にもつながる。これらを俯瞰(ふかん)して共通項を見いだし、それらを結び付けることで、技術のプラットフォーム構築を進める」(野上CTO)。
顧客密着のため、フィールド・アプリケーション・エンジニア(FAE)の育成も強化しており、顧客の回路設計段階からコンデンサーの専門家として最適な技術提案を行うことで、顧客価値向上への貢献を目指す。「これにより、従来とは異なるビジネスモデルを構築し、コンセプト主導型の商品開発につなげる」(野上CTO)。FAEはまず国内での育成を強化し、将来的は海外にも展開する。
アライアンスやコラボレーションにも積極的に取り組み、業界のネットワークを広げることで技術補完に努めている。「エンジニアに対しては、研究室内での活動だけでなく、『越境してほしい』というメッセージを出している。それによって新しい商品のアイデアにつなげてほしい」(野上CTO)。その一環として、新たに技術本部内に「新規事業推進室」も開設した。
脱炭素への対応では①セットの高効率化への貢献②自社のエネルギー消費低減の両輪で取り組む。中期での重点開発分野は①車載②産機③ICT④新エネルギー⑤家電の5分野。特に車載や通信に重点を置いた活動を推進する。