2023.07.21 中国半導体産業、包囲網の中で「自給」図る 新規上場、欧米から投資も
半導体企業の上場の式典
先端技術をめぐる米中の対立の中、中国の半導体関連業界は、包囲網への対抗を図る。最先端ノードの製造装置の輸出規制を踏まえ、規制から外れる成熟プロセスなどで国内勢が投資を進めるほか、成長する中国市場を取り込みたい欧米勢も、デカップリングに配慮しつつ投資を続けている。定義の問題はあるにせよ、半導体の「自給率」が改めて注目されている。
政府の優遇策もあって、中国各社は生産増強を進める。ファンウドリー(半導体受託製造)で中国2位の華虹半導体は6月末、江蘇省無錫市で製造拠点の建設に着手した。プロジェクトの総額は67億ドル(9000億円強)。起工式には当局の幹部らもそろって出席し、蜜月ぶりを示した。
5月にはファンドリーの紹興中芯集成電路製造(SMEC)が、上海証券取引所のテック系新興企業向け市場「科創板」に上場。100億元近くを調達した。
上場で調達した資金は、主にMEMSやパワー半導体製造、パッケージング・テスト生産拠点、ウエハー製造プロジェクトに投資の見込み。現状、米国の規制外であるパワー系などに注力する構えだ。
欧米各社も中国投資は継続する方針だ。中国市場は世界全体の約3割を占める最大市場だけに、「政治的なことはともかく、経済面では関係を強化しないといけない」との声もある。実際、米クアルコムや米インテル、蘭ASMLなどの首脳らが相次いで訪中するなど、配慮ぶりを示す。
STマイクロエレクトロニクスは6月、中国の三安光電と合弁で、SiC(窒化ケイ素)製品を製造する事業を発表。米マイクロン・テクノロジーは、中国で今後数年間に6億ドルを投資すると発表した。
(24日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)