2020.02.19 【ICT展望2020】NECプラットフォームズ・福田公彦社長

福田社長

新事業の開拓元年に

 ―NECグループのものづくり関連企業を再編してきましたが、進捗はいかがですか。

 福田社長 国内7工場、海外2工場のグローバルワンファクトリー化も一段落し、宇宙から海底ケーブルまで、幅広くものづくりを支援できる体制が整った。19年に工場の情報システムを一本化したことで本格的な運用に移ってきている。各工場の特徴を生かした生産品目の最適化に取り組み、実例も増えてきた。

 ―生産品目の最適化は具体的にどのように進めていますか。

 福田社長 国内では量産型の掛川、大型の一品生産が得意な福島、クリーンルームを持つ大月など、工場ごとに特徴がある。19年はこうした特性を生かして生産品目を最適化する取り組みを本格化させ、実際に掛川工場の生産ラインをクリーンルームのある大月工場に立ち上げた。ワンファクトリーでの運用を実行する現場の意識も着実に芽生えてきたと感じる。

 ―スマート工場が注目されています。

 福田社長 当社工場で進めてきた、IoTを活用したデータ収集と見える化は定着し、利活用の段階に入った。さらに複数拠点でロボットによる自動化の検証も始めた。今年は5Gの商用サービスが始まる。ローカル5Gへの期待も高まる中、当社工場のスマート化に向けても5Gの活用を検討していく。

 環境に配慮した取り組みも始めた。19年にタイ工場において1.4MW規模の太陽光発電設備を稼働させた。NECグループの環境への取り組みの一環として、国内では甲府工場で太陽光発電システムの導入に向けたプロジェクトをスタートし稼働を目指す。

 ―ODM(機器開発製造)やEMS(機器受託製造)を強化しましたが、成果は。

 福田社長 タイ工場で約40社から受託しているほか、国内工場でも車載システムを中心に受託を拡大している。生産性と品質を高めながら受託していく計画で、特に車載では電動化やコネクテッドがキーワードになるため、当社の強みが発揮できる。NECグループの中核となって案件を獲得していく。

 ―ビジネス面はいかがですか。

 福田社長 流通向けは19年10月の消費税増税に伴う軽減税率導入でPOSシステムの対応に追われた。同時にキャッシュレス決済への対応も喫緊の課題で、今後はキャッシュレス化への案件が増えると見る。

 働き方改革の観点からは、当社が国内で高いシェアのキーテレフォンやPBXを軸にしたコミュニケーション改革に関する案件が増えており、支援を強化していく。オフィス内のコミュニケーションを統合するハブとして製品とサービスを展開したい。ハードだけでなくクラウドなどのサービスも重要になるため、他社と協業してサービスメニューを増やす。

 ―20年をどのような年にしますか。

 福田社長 新事業開拓元年にしていく。体制も整ってきているため、成長に向けた一歩を踏みだしたい。19年度には事業部門が横断して連携できる体制をつくった。既に医療介護事業者と在宅患者をつなぐ遠隔医療プラットフォームの提供を始めたほか、画像認識技術を使って宅配便の荷物の大きさを自動計測するユニットも開発した。宅配事業者など50件以上の引き合いが来ている。

 今年はこうした新事業を増やしたい。事業部内に限らず、事業部間連携を進めやすい体制づくりにも取り組み、そのための投資も行う。お客さまの一番のプロバイダになることを目指し、スピード感のある組織づくりを検討したい。