2023.08.16 リコー、オフィスサービスが業績けん引 国内・欧米とも大幅に伸長

大山 社長大山 社長

川口取締役CFO川口取締役CFO

 リコーがオフィスサービス事業を中心に業績を拡大している。2024年3月期第1四半期(1Q、4~6月)の売上高は5346億円、前年同期比16.4%増と大幅に伸長した。製品や商材の供給制約の解消や、PFUの連結子会社化、円安効果もあったが、日本、欧州、米州のオフィスサービスがけん引した。国内はスクラムシリーズが大幅増。欧米は、買収効果が顕著だ。

 営業利益は101億円、同5.7%増で、増収増益となった。川口俊取締役CFO(最高財務責任者)は「全体的には想定のレベル。リコーデジタルプロダクツは生産調整やA3機、A4機の製品ミックスの影響があったが、リコーデジタルサービスでは製品供給制約からの回復や注残解消などによりオフィスプリンティングのハードが増収となり、強化しているオフィスサービスも引き続き成長した」と総括する。

 同社は▽オフィスサービスやハード、消耗品の販売を事業領域とするリコーデジタルサービス▽開発・生産のリコーデジタルプロダクツ▽商用・産業印刷のリコーグラフィックコミュニケーションズ▽サーマル事業などのリコーインダストリアルソリューションズを主要セグメントとして事業展開している。

 1Qは、商用・産業印刷分野も増収・営業増益で推移したものの、サーマル事業は市場在庫調整などで苦戦した。

 オフィスサービスは日本、欧州、米州とも好調だ。日本のオフィスサービス売り上げは826億円、前年同期比33.0%増と大幅な伸び。バックオフィス系DX(デジタルトランスフォーメーション)など顧客の関心・ニーズを捉えた販売が順調で、スクラムシリーズの伸びが継続したほか、IT、アプリケーションサービスでのストック売り上げが拡大した。

 中小企業を対象にしたスクラムパッケージは同27%増だった。電子帳簿保存法対応、BCP(事業継続計画)支援などのバックオフィス系、セキュリティー関連が好調に推移している。中堅企業が対象のスクラムアセットは同98%増と倍増した。帳票処理の自動化、セキュリティー関連が堅調だ。スクラムシリーズの売り上げは240億円で、同55%増となった。サイボウズとの業務提携によるRICHO kintone plusも契約数が順調に伸長しており、体制強化で販売加速を狙う。

 国内ではスキャナーのトップメーカー・PFUのグループ化、サイボウズ、Sansanなどとのアライアンスを強化している。

 欧州のオフィスサービス売り上げは575億円で同29.6%増。ドキュメント管理のDocuWareの契約数が順調に拡大、また、昨年買収した英国のPure AV、デンマークのAVCがコミュニケーションサービス分野を中心に業績に貢献している。6月にはアイルランドのITインフラ、クラウドサービス、マネージドワークプレイスサービスのリーディングカンパニーのPFHテクノロジーグループを買収した。欧州のITサービスの強化が狙いだ。

 米州は、大手顧客へのBPS(ビジネスプロセスアウトソーシング)の好調に加え、コミュニケーションサービスのCeneroが売り上げ増加に寄与した。売り上げは375億円、同19.3%増となった。今後、RICHO kintone plusの拡販に向けた販売体制の構築を本格化させる計画だ。

 同社は「デジタルサービスの会社」実現に向け、成長戦略を加速させる。25年度にデジタルサービスの売上構成比60%超(22年度44%)を掲げている。大山晃社長兼CEOは「顧客起点のイノベーションでデジタルサービスの会社として成長を実現し、企業価値を向上させる」と強調する。