2023.09.16 政府、自動運転レーンを一般道にも拡大 デジタルライフライン整備で方針

 政府は2024年度から先行地域で、ドローン(小型無人機)の航路や自動運転車の運行を支援するインフラなどの整備を始める。経済産業省で15日に開かれた「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」(議長・西村康稔経産相)で、先行的に進めるインフラ整備の方針を示した。

 政府はデジタル化の恩恵を全国津々浦々に行きわたらせようと、23年度中に約10カ年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定する方針だ。同会議は今回、計画策定に先立ち中間取りまとめを行い、インフラの社会実装を早期に具体化させる「アーリーハーベストプロジェクト」の方向性を明示した。

 プロジェクトで実装を促すインフラの一つが上空を飛ぶドローンの航路。ドローン航路を先行的に整える対象地域として、埼玉県秩父地域(送電網上空)と静岡県浜松市(天竜川水系上空)を設定。24年度に必要な設備として、ドローンの緊急着陸ポイントや第三者が立ち入る兆候を確認できるカメラなどを位置付けた。

 プロジェクトでは、自動運転車の実装も推進する。政府はこれまで、新東名高速道路や東北自動車道に自動運転レーンを設ける計画を示していたが、対象を国内初となる一般道にも拡大。24年度に、茨城県日立市の大甕(おおみか)駅周辺で自動運転バスを走らせるという。

 特定の条件下で無人の自動運転を可能とする「レベル4」での走行を想定。安全で円滑な自動運転を実現するため、車両を検知するセンサーやカメラ、情報提供システムも導入する。人口減少や高齢化で地域の足を担う公共交通や物流の維持が難しくなる中、こうした課題の解決につなげたい考えだ。

 また、電力や通信などの社会インフラに関する空間情報をデジタル化して点検や工事の生産性向上につなげる「インフラ管理DX(デジタルトランスフォーメーション)」も、埼玉県さいたま市と東京都八王子市で進める方針も示した。