2023.11.01 国産生成AI開発競争過熱 NECは商用開始、NTT・ソフトバンクは来年本格展開
NTTは1日、独自LLM「tsuzumi」を発表した
日本語に強い国産生成AI(人工知能)の開発競争が過熱している。NECが7月に商用を開始したのを皮切りに、NTTとソフトバンクも相次いで2024年中の稼働を発表。米巨大IT各社も日本市場への攻勢を強めており、急拡大が予想される市場のシェア獲得に向けた主導権争いも激しくなりそうだ。
NECは日本語特化のLLMをいち早く商用化し、7月から一部サービスを開始した。LLMの性能指標の一つであるパラメーター数は、チャットGPT(GPT-3)の1750億に対し130億で稼働する。今後3年間で約500億円の売り上げを目指す。
NTTは今月1日、独自LLM「tsuzumi」を発表。消費電力と運用コストを抑えるため、6億パラメーターで動く超軽量版と70億パラメーターの軽量版を用意した。企業向けに来年3月から提供予定で、テキスト文書だけでなく画像や音声なども生成するマルチモーダル対応に向けた準備も進めている。27年に単年度の売り上げ1000億円を目標に掲げる。
NECとNTTが学習コストを抑え軽量化したLLMを開発したのに対し、国内最大級のLLM開発を目指すのがソフトバンクだ。GPT-3の2倍に当たる3500億パラメーターの国産生成AI開発に向けて計算基盤の稼働を始め、24年中に大学や研究機関、企業などに提供することにしている。
各社が開発を急ぐ背景にあるのは、米巨大ITの動きだ。米マイクロソフトは今月1日から対話型生成AIを搭載した「365Copilot」の正式提供始めたのに合わせ、生成AIを活用して事業化を目指す日本国内のパートナー企業を支援するプログラムを立ち上げた。
アマゾン傘下でクラウドサービスを展開するAWSジャパンも、4月に提供を始めた生成AIサービス「Bedrock」の一般利用を10月3日からスタート。自社サービスに特化した生成AI構築を支援することでシェア拡大を目指す。
(6日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)