2023.12.25 【電波時評】録音にみる新技術と技術の継承

 日本の年末の風物詩の一つに第九演奏会がある。言わずと知れたベートーベンの最後の交響曲だ。クラシック音楽では、同じ曲をさまざまな演奏家が演奏を繰り返すことが一般的なので、ある演奏家がある同一曲の録音を長年にわたって多数残している場合、いろいろなことが分かる。例えば録音技術など工学技術の発達が一聴して分かることもある。

 第九を得意とした指揮者フルトベングラーは、ライブ録音で実に10種類以上残している。彼は1954年に亡くなったの...  (つづく)