2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24各社の戦略 家電各社、省エネ切り口に活路

環境投資の高まりが後押し
買い替え需要顕在化に注目

 エアコンを含め、白物家電市場は2023年、厳しい市場環境に置かれた。新型コロナが5月に感染症法上の5類に移行した結果、多くの人の行動が変容し、今までの我慢を解放しようと、レジャーや外食など外向き消費への投資が増えた。これにより耐久消費財への投資が一時的に減少、家電購入の予算も減ったためだ。

 いわゆるモノ消費からコト消費へと、消費の行動が顕著に変化したことも背景にあるといわれた。家電販売の苦戦は、巣ごもり消費で拡大した需要の反動も加わっているという。

 同時に電気代をはじめ食料品など、諸物価の高騰が消費意欲を減退させた影響もあった。また消費はするが、必要なモノに投資するという選択的消費が増えた。こうした複合的な要因が家電製品への購買行動に大きな影響を与えており、24年はこれをどう打破して成長につなげていくか、難しい課題を抱えることになる。

 24年については、国内景気の動向は、基本的に、少子高齢化の加速で住宅着工戸数の減少が長期的なトレンドになるなど、マイナスの要因は継続する。エネルギー価格や物価の高止まり、円安など、今のところ状況に大きな変化は見られない。

 ただ、24年の見通しとして、23年よりは上向くという見立てもある。消費はある程度回復し、大手企業の冬のボーナス支給額もアップするなど、給与水準も徐々に改善の兆しが見られる。

 また、国内経済全般を見渡せば、首都圏・関西はじめ再開発大型プロジェクトがめじろ押しで、部品や半導体関連、車載電池など工場投資も旺盛で、これらが経済成長を下支えすることは確かだ。

 さらにカーボンニュートラルの実現に向けた動きも加速することになり、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた環境関連投資も増え、政府や自治体の省エネ・高効率機器・住宅に対する普及支援も強まることから、こうした流れに対応したビジネスを加速することが、事業成長の鍵を握ることになりそうだ。

 家電製品の需要については、こうした経済全般の動きに連動し、回復する可能性も残されているが、多くのメーカーでは、依然として厳しい環境にあるとみている。これを前提として事業戦略を構築し、省エネ製品の販売や省エネソリューションの強化など、時代のニーズに合わせた展開を強め、成長を目指す動きが強まりそうだ。

 近年の消費者の行動変化についても、24年は家電製品の購入には少しプラスになる可能性もある。「23年は新型コロナが収まって、一時的にそれまで我慢していた外出に消費を増やしただけで、24年はモノ消費とコト消費のバランスが取れるのでは」という。

 家電分野については、大型家電を中心として潜在的に買い替え需要時期を迎えている製品が多く、どこかの段階では需要は顕在化する。省エネを切り口に活路を見いだす好機でもある。

 ここでは、不透明な状況が続く24年にどう臨むか、各社の事業方針を聞いた。市場環境・ニーズを見極め、適切な商品戦略、マーケティング施策を展開することで、道を切り開いていく考えだ。